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「シコふんじゃった。」「Shall we ダンス？」の周防正行監督が、現在の刑事裁判の問題点に真正面から向き合い手がけた異色の社会派ドラマ。ある青年が身に覚えのない痴漢容疑で逮捕され、その後１年にわたる裁判を経験する姿を通して、刑事裁判の実情を克明に描き出していく。フリーターの金子徹平は、会社の面接に向かうため通勤ラッシュの電車に乗っていた。そして、乗換えの駅でホームに降り立った彼は女子中学生から痴漢行為を問いただされる。やがて警察署へと連れて行かれた徹平は、一貫して“何もやっていない”と訴え続けるのだったが…。

出典：TSUTAYA DISCAS

[review_stars 5/5]
「Shall we ダンス?」の周防正行監督による完全新作という事で、非常に楽しみにしていた作品です。見てみた感想としては、本当に期待以上でした。

痴漢冤罪を題材に、日本の司法制度に対して問題提起を行う……という概要から、楽しくワクワクできるタイプの作品ではないので自分に合わない可能性も考えてはいたのですが、事実を淡々と、まるでドキュメンタリーのように描いている構造が、気の抜けたドキュメンタリー作品にありがちな退屈さがなく、非常に密度の濃いものになっていて、退屈さを感じる間もなく熱中しているうちに一瞬で終わってしまい、繰り返し見ることとなりました。

また、独特の透明感を伴った空気感を纏う加瀬亮さんが非常にきっちりとはまっていましたね。強すぎず弱すぎず、ここを務めるのがアクや圧の強すぎるキャラクター性の人物がと、こんなにすんなりとは見られなかったでしょう。見る人が心を、あくまでも”適度に”心を寄せて見られる、不安定な状態にずっと置かれる冤罪被害者でした。
この作品には、ドラマチックな快進撃や、突然もたらされる幸運のようなもののない、現実をきわめて丁寧に「作品」に起こしたものですが、それにもかかわらず、「実話をもとにした」という看板に胡坐をかくことのない晴らしい映画でした。

[review_stars 4/5]
現実に起こりうる痴漢冤罪事件。誰もがいつかその対象となるかもしれません。そのため、世の中の男性たちは満員電車の中で対策として、びくびくしながら手を上に上げておくといった人も多いのではないでしょうか。私もその中の一人です。

ただ、実際に満員電車で痴漢を行う不届きな輩がいるのも事実です。さらにはそれで線路を逃走し、迷惑に迷惑を重ねる事例も後を絶ちません。女性が安心して生活のできる社会を作ることが何よりも大切であることは間違いないことです。この作品はそんな社会の中で、痴漢冤罪に立たされた側の人間に焦点を当てた非常に珍しい作品となっています。

現在の日本で、痴漢冤罪となった時に、それを覆そうと思った時にどれだけの難しさがあるのか。最後の終わり方も、その難しさを視聴者に投げかけるような、緻密な計算のされたストーリー展開となっています。日本の制度にメスを入れた、メッセージ性の強い作品となっています。一つ一つの過程が非常に丁寧に描かれており、その難しさが抽象的ではなく、現実的に伝わってくる作品に仕上がっています。
週末に家族で見るには少し重い内容かもしれませんが、現実の問題点に焦点を当てた作品は一度は見る価値があります。

[review_stars 4/5]
この映画は、電車内で痴漢に間違われて人生がめちゃくちゃになってしまった男性の話です。

主人公の金子はフリーターで、仕事を探していました。そしてその仕事の就職面接に行く途中で女子中学生に痴漢だと間違えられてそのまま連れていかれてしまいます。何度も無実を訴えますが、誰も聞く耳を持ってくれず、警察に連れていかれてしまいます。その話を聞きつけた家族や友人が奮闘しなんとか無実を証明しようと、実際の電車に乗った時の再現などをし、絶対に痴漢は不可能だという答えを導き出します。しかし、金子の家から痴漢物のAVが発見されてしまったり、今まで協力してくれていた検事の異動などがあり、金子の心証がどんどん悪くなってしまいます。このままだと有罪になってしまう、でも本当に僕はやっていませんと訴えていても、最後には懲役三年の有罪となってしまいます。

正直、初めて見たときには結末に驚きました。日本の映画にはハッピーエンドのものしかないと思っていましたので。
そしてこの、免罪にされた痴漢の話はあまりにも私たちに近い話で、今日にでも明日にでも起こり得そうな出来事です。そして何度か実際にニュースでも、容疑を否認しています。と聞きました。本当に免罪かもしれない、しかし本当に罪を犯したかもしれない。これを立証するのはとても難しいことなんだと思います。しかし、本当に悪いのは実際に痴漢をする人です。これ以上電車内で女性が傷つかないように、防犯カメラなどの対策を進めてほしいと思います。