鯉登音之進は漫画『ゴールデンカムイ』の登場人物。
鯉登音之進のプロフィール・経歴・名言・名シーンなどをまとめました。
【ゴールデンカムイ】尾形百之助のプロフィール
氏名 | 鯉登音之進(こいと おとのしん) |
性別 | 男性 |
生年月日 | 1885年12月23日 |
年齢 | 21歳 |
出身地 | 鹿児島県 |
職業 | 陸軍第七師団・少尉 |
身長 | 不明(鶴見中尉と同程度。ウイルクより低く、江渡貝弥作より高いとの記載あり) |
体重 | 不明(都丹庵士より軽く、尾形百之助より軽いとの記載あり) |
好きなもの | 月寒あんぱん |
嫌いなもの | 桜島大根 |
【ゴールデンカムイ】鯉登音之進の経歴
鯉登音之進は陸軍第七師団所属の少尉で、鶴見中尉に心酔しています。
感情が昂ると故郷の薩摩弁が出る若者で、だいぶ子どもっぽさが残る人物。
そんな鯉登音之進の過去のエピソードをまとめました。
兄の戦死
鯉登音之進には、海軍に所属する平之丞という兄がいました。
音之進が「(色白のため)桜島大根に似てる」とからかっても怒ったりしない、優しい人物だったそうです。
しかし、音之進が8歳の時、日清戦争で平之丞の乗っていた防護巡洋艦『松島』は砲撃を受け大破。帰らぬ人となってしまいました。
同じく海軍の軍人である父・平二は優秀な長男の死を目の当たりにし、笑顔を見せなくなってしまいます。
音之進も、船に乗ると、父が見た兄の最期を想像し気分が悪くなるようになってしまい、長時間の船旅ができない体となったことで、父や兄と同じ海軍将校を目指すことが難しくなり、自分を「落ちこぼれ」と責めるようになるのです。
鶴見との出会い
音之進は、14歳になると東京の海軍学校に進学するも、船酔いの件もあり成績不良の問題児となります。
夏休みに実家の鹿児島へ帰郷した音之進は、故郷でも素行の悪い態度を見せ、父の電動三輪車を乗り回していました。
その時、歩行者を撥ねてしまいます。
音之進は謝りもせず、父の名を出し悪態をついて立ち去ろうとしますが、歩行者に「喧嘩をするなら自分の名前でやれ」と言い返され逆上。
示現流を見せようとするも、素手で受け止められ頬を叩かれた音之進は、歩行者に「太刀は真っ直ぐで綺麗なのに…」と言われ、我に返るのでした。
この歩行者こそが、鶴見篤四郎。
音之進はお詫びにと、鶴見を西郷隆盛の墓まで案内します。
そこで鶴見に『月寒あんぱん』をもらった音之進は、兄の墓にあんぱんを半分供えます。
戦死した兄の話や笑わなくなった父の話、海軍将校になれそうもない自分の話などを赤裸々に語った音之進。
「オイが死ねばよかった」そう言う音之進に、鶴見は「兄の穴を君が埋める義務はない」と慰めます。
そして、「また偶然会えた時はお互い友人になれという天の声に従おうではないか」と言い、音之進と別れるのでした。
誘拐事件
16歳になった音之進は、父の仕事の関係で函館へ引っ越していました。
函館でも素行は変わらず、電動三輪車で爆走する音之進ですが、突然やってきた馬車に道を塞がれさらわれてしまうのです。
音之進の身を案ずる母・ユキと父・平二。
犯人はロシア人の可能性が強まり、陸軍からロシア語が堪能な将校が平二のもとへ派遣されます。
その将校とは、鶴見篤四郎。
鶴見の指示のもと犯人と電話で接触した平二は、犯人の要求が「水軍にある函館の基地の無力化」と知り、決断を迫られます。
要求を飲み音之進を助ければ、無力化した基地からロシア軍が攻め入ることで開戦、何百万もの人が犠牲となるでしょう。
決断した平二は犯人に電話し、音之進にこう伝えます。「音之進…お前は助けん。国のために…」。
音之進は父の決断を聞き、「兄さあのような息子になれず申し訳あいもはん」と答え、犯人と取っ組み合いを始めました。最後に犯人に一矢報いて倒れるつもりなのです。
それを聞いた平二は、堪らず電動三輪車で駆け出します。立場も国も全て投げ捨てて、息子の救出に向かったのです。
一方音之進は、すぐ犯人たちに取り押さえられてしまいました。
「オイが戦うて死んだとわかれば、父上も少しは見直すじゃろう」と、涙を流しながらとどめを刺すよう言う音之進。
その瞬間、父・平二の息子を呼ぶ声が響き渡ります。
驚く音之進。まさか父が助けに来てくれるなんて…。
縛られている音之進は、外で飛び交う激しい銃弾の音を聞くことしかできませんでしたが、外が静かになると部屋の扉が開きました。
「やっぱりまた会えたね」そう言い登場したのは、なんと鶴見篤四郎。
あの『月寒あんぱんの人』が助けに来てくれたのです。
この一件で父との確執も解消。音之進の鶴見への狂信にも近い敬愛が始まります。
そして音之進は陸軍に入隊を決め、鶴見中尉のもとで働くことになりますが…。
果たしてこの誘拐事件、本当にロシア人の犯行だったのでしょうか?
【ゴールデンカムイ】鯉登音之進の強さ・能力
鯉登音之進は、類まれなる素早さと身のこなしが特徴です。
特に鯉登の強さ・能力がよくわかるエピソードを交え、紹介していきます。
素早さ
鯉登音之進は、作中でも屈指の素早さを誇る人物。
稲妻強盗と対峙した際に、その脚力で活躍しました。
稲妻強盗・坂本慶一郎は韋駄天の強盗犯として知られ、追いかけることすらできない素早さで逃げる脱獄囚人。
しかし、鯉登は坂本の素早さにも負けずついていく脚力を見せつけました。
身のこなし
鯉登はその素早さもさることながら、身のこなしも常人離れしています。
それが如実にわかるエピソードは、なんといっても樺太でのサーカス団でしょう。
ひょんなことからサーカス団の一員として出演することになった杉元・鯉登一行。
鯉登は、杉元たちにはできない自転車芸や綱渡りなどの軽業を、努力なしにこなしてしまいます。
サーカス団の座長は「軽業の天才」と称し、その才能に涙をして正式に軽業師としてスカウトするほどでした。
自顕流
鯉登は、薩摩で主流だった自顕流を使い手です。
自顕流とは、「キエエエエ!」という猿叫と呼ばれる独特の叫び声を上げて真っ直ぐに敵に刀を振り落とす、一撃必殺の流派。
初太刀を受けると必ず倒されると言われるほどの強力な一振りで、稲妻強盗・お銀の首をひとはねにできるほどの強さです。
自顕流は一撃必殺ゆえ倒される覚悟で挑まないといけない流派ですが、鯉登は覚悟なさと経験不足から、新選組の生き残りである永倉新八に「かつての薩軍達の気合には到底及ばない」と言われてしまいます。
しかし、仲間の死を目の当たりにし、倒される覚悟をするのではなく、部下を守るために倒れるわけにはいかないと開眼。
真の自顕流の使い手に成長するのです。
【ゴールデンカムイ】鯉登音之進の名言・名シーン
様々な名言や名シーンが醍醐味であるゴールデンカムイ。
その中から、鯉登音之進の名言・名シーンを集めました。
よくも…私の部下たちをッ
鯉登は、戦争を経験しておらず、将校ではあるものの子どもじみた態度と自覚のなさが多く見られました。
少尉でありながらなんでも月島軍曹に頼りきりで、それを恥じる様子もありません。
そのため杉元・谷垣とともに樺太への旅に向かう際も、少尉でありながら月島軍曹に決定権が委ねられるほどでした。
しかし、樺太の旅で様々な苦難を乗り越えた鯉登一行。
流氷の上でキロランケにより月島軍曹と谷垣一兵卒が怪我を負った際に、心の底から湧き出たセリフがこの「おのれ…よくも…私の部下たちをッ」というものだったのです。
ただの金持ちのボンボンから部下を思う将校に徐々に成長していき、自分の使命に目覚めていく姿は非常に美しく見ごたえがあります。
私は鶴見中尉殿と月島軍曹を最期まで見届ける覚悟でいる
軍病院から逃げ出した谷垣と、今にも出産を迎えるインカㇻマッを追い、始末せんとする月島軍曹。
それを止める鯉登に、月島は銃を向けながら「あなたも裏切るのか」と問います。
そこでの鯉登の返事が、「銃をおろせ これは上官命令だ」「私は鶴見中尉殿と月島軍曹を最期まで見届ける覚悟でいる」というもの。
鯉登は、過去の誘拐事件が鶴見が仕組んだものと知ってもなお、鶴見の成し遂げることを見届けると決意するのです。
鶴見中尉が成し遂げようとする道の先で皆が救われるなら、自分たち父子が利用されようが構わない、私は前向きに鶴見中尉を信じると話す鯉登は、どこまでも前を向く男だということを再確認できる名シーンでした。
オイは皆んため…もっと沢山の誰かのため 勝たないかん
金塊争奪戦も終盤、鯉登は新選組の生き残り・土方歳三と真剣勝負になります。
しかし、幕末を生き抜いた土方の迫力に気圧された鯉登。
そんな鯉登の心の内を感じ取った土方は、「迷いがあるなら今すぐ降りろ 死人になれていない」と言います。
鯉登はその言葉を受け、「薩摩隼人は命を賭けたから強かった」「だが、自分のような若輩者の命を賭けたところで、勝てる相手ではない」と考えるのです。
通常、自顕流は最初の一振りに全生命をかける流派。
しかし、鯉登は命を捨てるのではなく、「オイは皆んため…もっと沢山の誰かのため 勝たないかん」と、生きるために剣をふるう覚悟を決めるのです。
鯉登が明日の日本を背負う将校として完成された、素晴らしいシーンでした。
【ゴールデンカムイ】鯉登音之進と関連人物
鯉登音之進は、様々な人物との交流で成長していきました。
中でも特に鯉登に関連する登場人物を見ていきましょう。
月島基
鯉登少尉と月島軍曹は第七師団の上司と部下の関係ですが、鯉登は経験不足で世間知らずな人物のため、月島が子守をするように一緒に行動しています。
鯉登少尉は鶴見中尉と話すときは緊張のため極度の早口の薩摩弁になってしまい解読できなくなってしまうため月島軍曹に通訳を頼んでいますし、判断能力にも欠けるため、命令は基本的に月島を通して行われます。
樺太の旅でも全権が月島に任されていましたが、鯉登は月島ら部下の危機を見たことで開眼。
そこから関係が変わり始めます。
月島に守られ頼り切りだった鯉登は、自分で何をすべきかを考え始め、間違えた方向に進む月島の軌道修正をするまでに成長。
金塊争奪戦の最後には、瀕死の月島をなお働かせようとする鶴見に対し月島を解放するよう進言し、月島の命を救うのです。
守られていた鯉登は月島を守るまでに成長し、鶴見という生きがいを失った月島に、新たな生きがいを「命令」するのでした。
尾形百之助
鯉登と尾形百之助は、第七師団の上司と部下の関係。
二人はお互いを蔑んでいますが、特段の交流はありません。
しかし、実は鯉登と尾形は、誘拐事件ですでに出会っているのです。
あの事件は、海軍の戦力を手に入れたい鶴見による狂言誘拐でした。
その際犯人役を担ったのが、月島基・菊田杢太郎・そして尾形百之助です。
第七師団から造反した尾形は、樺太で病院から脱走する際、鶴見中尉へ鯉登の疑惑が向くように仕向けます。
誘拐事件の際尾形が鯉登に向けて言ったロシア語「バルチョーナク(ボンボンが)」と呟き、鯉登を生かしたまま逃げるのです。
これにより鯉登は、助けてくれたはずの鶴見に疑念を持つことになり、運命が一変していきます。
鶴見中尉
鯉登が厚い信頼と敬愛を寄せる鶴見中尉。
運命的な出会いと事件を経て、鯉登は「鶴見のためなら命をかけられる」軍人として、鶴見の直属で働いています。
しかし、鹿児島での出会いも、誘拐犯から助けてくれたことも、全て鶴見が入念な調査をしたうえで仕組んだことでした。
それを知った鯉登は落胆し造反するかと思いきや、「鶴見中尉すごーい!」とより心酔。
自分という駒を手に入れるためにそこまでしてくれた、と喜ぶ様子を見せます。
ですが、心の中では鶴見の行く末に疑問を持っていた鯉登。
鶴見の前では緊張してきつい薩摩弁が出てしまっていたのに、流ちょうな標準語で話してしまいます。
ここから少しずつ鶴見中尉からの洗脳が解け始め、最終的には袂を分かつことになるのです。