アシㇼパは漫画『ゴールデンカムイ』の登場人物。アイヌの少女である彼女は、どのような人物なのでしょうか?
アシㇼパのプロフィール・経歴・名言・名シーンなどをまとめました。
【ゴールデンカムイ】アシㇼパのプロフィール
氏名 | アシㇼパ |
性別 | 女性 |
生年月日 | 1月1日(生まれ年不明) |
年齢 | 推定13歳 |
出身地 | 北海道小樽近辺 |
職業 | アイヌ民族 |
身長 | 不明(家永カノより低く、チカパシより高いとの記載あり) |
体重 | 不明(チカパシと同程度。インカラマッより軽いとの記載あり) |
好きなもの | 塩をかけた脳・杉元のオソマ(味噌) |
嫌いなもの | ヘビ |
【ゴールデンカムイ】アシㇼパの経歴
アシㇼパは、主人公である杉元佐一とともにアイヌの隠し金塊を探す旅に出ます。
そこに至るまでの過去のエピソードをまとめました。
父・ウイルクとの生活
アシㇼパは北海道にてアイヌ民族の両親から生まれました。
父の名はウイルク。アシㇼパと言う名はアイヌ語で「新年」という意味ですが、未来という意味に解釈しウイルクが名付けました。
母・リラッテはアシㇼパを生んですぐ病死してしまいましたが、父・ウイルクは、幼いアシㇼパに対し、アイヌの文化と山で生き抜く狩猟方法などの全てを教え込みました。
中でも特に印象的なものは、ウイルクが杉元一行と邂逅した際に回想したエピソードです。
まだ幼いアシㇼパを連れてヒグマの狩りに出るウイルク。
ウイルクは、ヒグマが通り道を時間通りに来る事をアシㇼパに教えます。アシㇼパは、ヒグマの行動を言い当てる父に驚愕しますが、その後ウイルクは、アシㇼパに対し「お前が斃しなさい」と身を隠すのです。
迫るヒグマに恐怖するアシㇼパでしたが、ヒグマが立ち上がった際に毒矢をヒグマの足に射ち込みます。
そしてすかさず木に登り、同じく木に登ろうするヒグマの手を、ナイフで激しく叩くアシㇼパ。そのうち毒矢の毒がまわり、ヒグマは倒れるのでした。
影から見ていたウイルクは、アシㇼパを抱きかかえ褒めたたえます。アシㇼパが山での生活に困らないためにヒグマの倒し方を実践させたのです。
アシㇼパは急にいなくなったウイルクに対し抗議しますが、ウイルクは「自慢の娘だ」と言いアシㇼパの顔に口づけをするのでした。
このエピソードからもわかる通り、アシㇼパにとっては生活の全てを教えてくれた尊敬する父でしたが、ウイルクはアイヌ同士の揉め事で殺されてしまいます。
その父の真実を知るため、杉元とアイヌの隠し金塊探しの旅に出るのです。
イオマンテと小熊
アシㇼパは生き物への情が薄く、獲物を仕留めることにもためらいのないように見えますが、幼い頃は違いました。
それは、杉元が小熊を拾ってきたエピソードで明らかになります。
アイヌの集落では、小熊を拾ったら大切に育てる風習があります。
小熊は成獣になったら、「イオマンテ」と呼ばれる儀式で神の国に送り返すのですが、その際さばいて食べられることになるそうです。
幼い頃のアシㇼパは、育てていた小熊を弟のように可愛がっていたため、その儀式の前に小熊を山に逃がそうとしました。
しかし村の大人に見つかり、儀式はそのまま行われることに。アシㇼパは非常に悲しく、その儀式だけは参加できませんでした。
この経験から、アシㇼパはいずれ食べることになる生き物に情を持たないようにしているようです。
アシㇼパの本来の優しさが垣間見えるエピソードでした。
レタㇻとの出会い・別れ
アシㇼパは幼い頃、ウイルクとともに狩りへ出た際に、ヒグマによって親を亡くした子狼を拾いました。アシㇼパはその子狼に「レタㇻ」と名付け、いつも一緒に行動していました。ウイルク亡きあとも、アシㇼパとレタㇻは連れだって山へ出かけていたそうです。
ある夜、アシㇼパとレタㇻがいつものように一緒に寝ていると、狼の遠吠えが聞こえてきました。
本来、狼は群れで生活をするため、レタㇻはその遠吠えにつられて小屋を飛び出してしまいます。
狼の本能ゆえ、仕方のないこと。しかし、アシㇼパは、父を亡くしてレタㇻも失い、本当にひとりきりとなってしまったのです。そうしてアシㇼパは、杉元と出会うまで笑顔を見せなくなってしまうのでした。
【ゴールデンカムイ】アシㇼパの強さ・能力
アシㇼパは、狩猟能力や自然の猛威への対処など多岐にわたる知識で、幾度となく杉元達を助けます。
そんなアシㇼパの能力がわかるエピソードをまとめました。
狩猟能力
アシㇼパと言えば、アイヌに伝わる狩猟技術を使う様が特徴的ですね。
アシㇼパの狩猟がゴールデンカムイの醍醐味でもあります。
第2話ではとっさの知識と弓の技術を見せました。
至近距離でヒグマと戦うことになった杉元に対し、ヒグマの腹の下に潜り込むよう的確な指示を出します。曇り空から月の明かりが出た一瞬を逃さず、ヒグマだけを狙い撃ちました。
杉元が動いたことで矢は外れますが、アクシデントがなければ倒せていたでしょう。
アシㇼパは罠による狩猟も得意とします。
アシㇼパは3話~5話にかけて、エゾリスが松ぼっくりを食べるエゾマツの木に落ちている枝を立てかけ、枝にリスが歩くと首がしまるようにできている「くくり罠」を仕掛け、見事エゾリスを捕まえました。
杉元にはじめて脳みそを食べさせたのもこの時でしたね。
アシㇼパはその後もウサギや鹿、アザラシなど様々な生き物をその知識で捕まえます。
生き物の美味しい調理術
アシㇼパは狩猟をしたあと、手早くさばき、美味しく調理することも得意です。
5話では捕まえたエゾリスの皮を綺麗に剥ぎ、チタタプ、そしてオハウというアイヌの伝統料理にしました。
チタタプとは、アイヌ語で「我々が刻むもの」という意味だと杉元に教えるアシㇼパ。
チタタプは本来生で食べるようですが、和人である杉元に合わせオハウという汁物にしました。
オハウには、肉の味が倍にも美味しくなるという野草・プクサニナも。
この美味しさに、杉元も「ヒンナ」(アイヌ語で食事に感謝する、の意味)と口にします。
このように、最大限に獲物を美味しく調理する術も持ち合わせているアシㇼパ。
この知識には、生き物への敬意も込められているのでしょう。
自然と共存するための知識
アシㇼパは、厳しい環境の北海道の山で暮らすための知識も持ち合わせています。
その知識が、杉元達の命を救ったこともありました。
特に印象深いエピソードが、100話の大雪山での危機です。
アシㇼパと杉元・白石・尾形は、追手から逃れるために大雪山を超えることにします。
しかし大雪山は、標高の高い山。冬でなくとも天候によっては寒さで命を落としかねません。
アシㇼパ達も例外ではなく、急に強まった風の寒さに白石が錯乱。
一刻の猶予もないその時、アシㇼパは杉元達に雄の鹿を3匹撃つように指示します。
撃った鹿の皮を剥がしその中で暖を取ることで、全員の命が救われたのです。
屈強な男達の強さが目立つゴールデンカムイですが、アシㇼパの様々な知識は一番の強みかもしれません。
【ゴールデンカムイ】アシㇼパの名言・名シーン
様々な名言や名シーンが飛び交うゴールデンカムイ。
アシㇼパの名言や名シーンを見ていきましょう。
オソマおいしい
アシㇼパはアイヌの少女。ずっとアイヌの文化の中で生きてきました。
そのため、和人の食文化に馴染めないことも。
特に杉元が持ち歩いている味噌には嫌悪感丸出しです。「オソマ」(アイヌ語で排泄物の意味)と呼び、見るのも嫌がりました。
白石が作ってくれた桜鍋も、味噌味と聞いて初めは嫌な顔をしますが、勇気を出して口にします。
そして飛び出たのがこのセリフ、「オソマおいしい」!
アシㇼパが和人の文化に歩み寄ると同時に、杉元達にも本当の意味で歩み寄っていくことを示唆する素敵なシーンでした。
何かを「一緒にしよう!」って前向きな言葉が私は聞きたいんだ!
杉元は、アシㇼパさんを自分のように汚さないため・これ以上危険な目に合わせないために、金塊争奪戦から離脱させようと考え、アシㇼパが思い出した入れ墨の暗号の謎を、鶴見中尉陣営に教えるよう進言しました。
その後211話でアシㇼパと鶴見中尉は初めて邂逅しますが、アシㇼパは「私の事は私が決める」と鶴見中尉達に対し矢を放つのです。
そこでアシㇼパが杉元に言ったものが「何かを「一緒にしよう!」って前向きな言葉が私は聞きたいんだ!」というセリフ。
杉元は、アシㇼパを大切に思うがゆえに、消極的になりすぎて大切なものを見失っていました。
アシㇼパは、杉元とはじめて相棒になったときのように、前向きに一緒に何かをしたかったのです。
これを受け、杉元も「よしッ!俺達だけで金塊を見つけよう!」と返します。
アシㇼパのおかげで、本当の絆を取り戻した二人。
ゴールデンカムイの転換点にして屈指の名シーンですね。
「道理」があれば 私は杉元佐一と一緒に地獄に落ちる覚悟だ
アシㇼパはアイヌの教えで、人を手にかけた者は地獄に落ちるというものを信じています。
そのため、杉元にも人をむやみに手にかけないように忠告していましたし、いかなる理由があろうとアシㇼパ自身で人を手にかけることはしないと誓っていました。
しかし、アイヌとしての生活を離れ様々な人の死や歴史を見てきた結果、そして杉元への思いが強まった結果、アシㇼパはアイヌの教えを捨てて杉元とともに地獄に落ちる覚悟をするのです。
その際のセリフが、『「道理」があれば 私は杉元佐一と一緒に地獄に落ちる覚悟だ』というもの。
自分の生きてきた文化や信条を捨ててまで杉元を助けたいという思いが強く伝わると同時に、旅がアシㇼパを変えたことを示唆するセリフでした。
【ゴールデンカムイ】アシㇼパと関連人物
アシㇼパは、様々な人物と出会い成長していきます。
特にアシㇼパと関連する人物をまとめました。
杉元佐一
アシㇼパと杉元佐一は、アイヌの金塊を探すため行動を共にします。
初めは杉元とドライに接していたアシㇼパでしたが、いつしか相棒となり、消えていた笑顔を見せるようになりました。そのうちに相棒以上の感情を持つようになります。それがよくわかるシーンが108話。
杉元には故郷に思い人がいたと知ってしまったアシㇼパが、話をさえぎるようにアイヌの踊り「鶴の舞」を踊り始めるというもの。杉元の思い人の話を聞きたくないアシㇼパの年相応の心境がわかるシーンでした。
アシㇼパはアイヌの言い伝えにのっとり不殺の誓いを立てていましたが、杉元への気持ちが大きくなるにつれ、杉元を守るためなら人に手をかけ地獄に落ちても良いと思うまでになります。
レタㇻ
レタㇻはアシㇼパが幼い頃に拾い、ずっと一緒に生活していたエゾオオカミ。
アシㇼパにとっては家族同然の存在ですが、アシㇼパが父を亡くして間もなく、狼の遠吠えを聞いたレタㇻもアシㇼパのもとを去ってしまいます。アシㇼパは強く引き止めますが、狼の本能には逆らえませんでした。
しかし数年後、ヒグマに攻撃されかけたアシㇼパを助けるように颯爽と現れたレタㇻ。その後、しばらく行動をともにし、アシㇼパのピンチに駆けつけてくれる頼もしい味方として活躍します。
レタㇻはその後、新たな狼の家族とともに再度去っていきますが、アシㇼパはもう引き留めません。
アシㇼパは成長し、さらに杉元(と白石)という仲間ができてもう一人ではないからです。
牛山辰馬
アシㇼパは、入れ墨脱獄囚の一人である牛山辰馬に非常に懐いています。
牛山は殺人犯ではありますが、普段は非常に頼もしく優しい豪快な紳士。
子どもや女性に好かれる好人物で、アシㇼパも例外ではありません。
牛山を見かけると普段とは違うテンションで目をキラキラさせて名前を呼ぶ姿がとても印象的です。
殺人ホテルにて牛山が助からなかったと思ったアシㇼパは、落ちていたはんぺんを牛山の特徴的な額のものだと思い形見にしようとしますが、物語の終盤で、そのはんぺんをいまだ大事に持っていたことも判明します。