杉元佐一は、漫画『ゴールデンカムイ』の主人公。
「不死身の杉元」の異名を持つ彼は、どのようなキャラクターなのでしょうか?
杉元佐一のプロフィール・経歴・名言・名シーンなどをまとめました。
【ゴールデンカムイ】杉元佐一のプロフィール
氏名 | 杉元佐一(すぎもと さいち) |
性別 | 男性 |
生年月日 | 3月1日(生まれ年不明) |
年齢 | 推定24歳 |
出身地 | 神奈川県 |
職業 | 元・陸軍第一師団所属 |
身長 | 不明(都丹庵士と同程度。ヴァシリより低く、鶴見中尉より高いとの記載あり) |
体重 | 不明(月島基と同程度。二瓶鉄造より軽く、鶴見中尉より重いとの記載あり) |
好きなもの | 干し柿・塩をかけた脳 |
嫌いなもの | イナゴの佃煮 |
【ゴールデンカムイ】杉元佐一の経歴
杉元佐一は、1話で北海道にて砂金採りをしています。その理由や、壮絶な過去のエピソードをまとめました。
幼馴染との恋・両親との別れ
杉元佐一は、神奈川県の貧しい農村に生まれました。
幼馴染の寅次・梅子とともに育ち、梅子とは両想いの関係。
ですが、14歳前後の頃に、家族が結核にかかり運命が一変します。
当時、結核は不治の病。うつる病気のため、家族から一人でも結核が出れば一家は迫害を余儀なくされるのです。
両親を看取り、結核菌のついているであろう家を燃やした杉元は、一人村を出ます。
梅子は一緒に行くことを望みますが、すでに結核がうつっている可能性のある杉元はそれを拒否。
梅子に寅次と一緒になるよう言い、梅子のもとを去るのでした。
それでも杉元は、2年経っても発症しなければ村に戻り梅子を迎えに行こうと心に誓います。
しかし2年後、結核を発症しなかった杉元が村に戻って目にしたものは、寅次と梅子の結婚式でした。寅次は杉元が梅子を奪いに来たと勘違いし殴りかかってきますが、杉元はそれを返り討ちにします。そして、幼馴染2人の幸せを願い、村を離れるのでした。
菊田軍曹との出会いと軍人への道
故郷の村を離れた杉元はひとり東京へ出ます。
血気盛んな杉元は、すぐに陸士候補生と揉め事を起こしますが、そこに現れたのが菊田杢太郎軍曹。菊田は杉元にある仕事を依頼します。それは、第七師団長の息子・花沢勇作の替え玉としてお見合いの会食をし、つまらない男を演じ縁談を失敗させるというもの。
貧しい農村出身の杉元は、会食で初めて食べたエビフライの美味しさに感動しますが、一方で、両親亡き後猫の餌まで盗み食べていた自分の生活を思い、富裕層との格差を思い知るのでした。
2回目の会食では、お見合い相手・花枝子の策略によりあれよあれよと服を脱がされてしまいます。
そこで現れた第七師団・鶴見中尉一行と邂逅。鶴見中尉達は、菊田とは別口でお見合いを失敗させるよう依頼されていたのでした。
銃を構える鶴見中尉たちを見て花枝子の危険を察知した杉元は、自分が勇作の替え玉であることを告げ、全裸のまま花枝子を連れて逃げます。
なんとかことなきを得た杉元たち。花枝子は杉元と結婚したいと申し出ますが、杉元は軍人になるからと断ります。軍人になれば今までのように食べ物に困ることはないと…。ここから「不死身の杉元」のストーリーが始まるんですね。
寅次との約束
晴れて陸軍第一師団に所属した杉元。日露戦争では目覚ましい戦功をあげ、どんなに大けがをしても生き残ることから「不死身の杉元」の異名までつけられました。
その後、奉天会戦にて幼馴染の寅次と再会し、ともに最前線で戦うことになります。
そこで杉元は、寅次と結婚した梅子が、目の病気でほとんど目が見えなくなっていると聞かされます。
アメリカに行けば目の名医がいて治せること、渡米費用や治療費合わせて200円(現在の200万円程度)必要なこと。寅次は治療費を稼ぐため、戦争が終わったら北海道へ砂金を取りに行こうと杉元を誘うのですが…。
寅次は手投げ弾から杉元をかばい、致命傷を負ってしまいます。
杉元は寅次を助けようとするも、野戦病院へ行くためのソリが足りず…。
死の間際、寅次は梅子のことを杉元に託すのでした。
戦地から戻った杉元は、寅次の指の遺骨を持って故郷の村に帰ります。しかし、戦場でたくさんの敵兵を手にかけた杉元は雰囲気や匂いが変わってしまっていました。
目がほとんど見えない梅子はその不穏な匂いを感じ取り、杉元に対し「あなた…どなた?」と告げるのです。
杉元はそのまま故郷を去り、親友・寅次との約束を果たすべく、砂金で一攫千金を狙うため一人北海道に渡ります。そして、ゴールデンカムイ第1話に繋がっていくのでした。
【ゴールデンカムイ】杉元佐一の強さ・能力
「不死身の杉元」の異名を持つ杉元佐一。
杉元だけで一個大隊を殲滅できると言わしめる強さを持ちます。
杉元の不死身エピソードや、その強さがわかるエピソードをまとめました。
頭を銃撃されても無事!驚異の回復力
杉元は、戦場で重傷を負っても次の日には戦場を駆け回れるという特異体質の持ち主。
首に銃弾を受けてもすぐ回復してしまうんだから、まさに「不死身」です。
そんな杉元の一番強烈な不死身っぷりが見られるのは、なんといっても網走刑務所でしょう。
杉元はついにのっぺらぼうを見つけるも、狙撃手・尾形百之助によりのっぺらぼうとともに狙撃されてしまいます。さすがに不死身の杉元でも、頭を撃たれては絶体絶命…。アシㇼパも、尾形に杉元は死んだと聞かされ涙しました。
が、杉元は生きていたのです!入院してはいるものの、食欲旺盛で元気!
この時は名医の家永カノがいたという理由も大きいにしろ、頭を撃たれても無事だったことには読者も驚愕しました。
杉元の回復が早い理由は、新陳代謝が際立って早いためとファンブックに記載されています。
天性の身体能力!
杉元の強さは、その回復力だけではありません。
幼い頃からたしなんだ柔術に加え、ずば抜けた身体能力と戦闘センスを持っているんです。
その身体能力と戦闘センスが如実に現れたシーンが、第17話にあります。
第七師団に拘束された杉元は、忍び込んできた二階堂兄弟に殺されそうになりますが、杉元は椅子に手足を拘束されたまま、椅子ごと回転!見事、二階堂兄弟を返り討ちにしたのでした。
並み外れた身体能力と、とっさに最適な攻撃を繰り出せる戦闘センスの高さがわかります。
杉元の言う「戦争で死なない方法は、殺されないこと」を体現できる能力の持ち主ですね。
死地を生き延びる精神力
杉元の強さを語る上で欠かせないのが、その精神力。
強さの土台には、死や痛みを恐れない精神力があります。
例えば8話にて、山の中で第七師団と遭遇し今にも撃たれそうになった際、杉元はとっさにヒグマの巣穴に飛び込むんです。相棒のアシㇼパから「ヒグマは巣穴に入ってきた者を襲わない」と聞いてはいたものの、実際に飛び込むとなるとかなり強い精神力が必要と思われます。
また、杉元は9話で鶴見少尉に尋問された際に団子の竹串を頬に刺されますが、平然とした顔をしていました。このシーンからも痛みを恐れない精神力が伝わりますね。
【ゴールデンカムイ】杉元佐一の名言・名シーン
ゴールデンカムイといえば、様々な名言や名シーンがあり、杉元も例外ではありません。
特に心に残った名セリフや名シーンを見ていきましょう。
俺は不死身の杉元だ!
杉元と言えばこのセリフ。
杉元の決め台詞で、作中の至る所に登場します。
大抵は、俺を誰だと思ってる!といったような意味合いで使われますが、シーンによって意味が異なってくるんです。
例えば杉元が遭難した228話では、シマエナガのウパシちゃんに「俺は不死身の杉元だ!」と言っていますが、これは遭難と空腹への不安から自分を鼓舞するために言っているようです。
また終盤の313話では、列車での激闘の終わりにアシㇼパを空中へ放り投げ谷垣に託しますが、その際アシㇼパに向かい「俺は不死身の杉元だ…」と優しく微笑みかけます。
ここでは、アシㇼパを心配させないがために言っているように感じられます。
同じセリフでも、状況によって意味が変わる味のある決めセリフですね。
それじゃあ とことん一緒に煌めこうか
入れ墨脱獄囚の一人・辺見和雄へのセリフ。
辺見は幼少期の体験から「抗った末無惨に倒されたい」と願うようになった男です。
辺見の「全力で抗いますので、どうか僕を煌めかせてください」というセリフを受けて、杉元は「それじゃあ とことん一緒に煌めこうか」と返し、激闘を始めるのです。
このセリフからは、杉元の残虐さと優しさの共存する人間性が垣間見える気がしますね。
誰から生まれたかよりも なんのために生きるかだろうが
255話、札幌にてマイケル・オストログ(ジャック・ザ・リッパー)と対峙した際に放ったセリフ。
オストログは娼婦は汚れた存在であると思い込み、娼婦連続殺人に至りました。
自分は純潔の母から生まれた神の子であると妄信しているオストログに対し、杉元は「誰から生まれたかよりも なんのために生きるかだろうがッ」と一喝します。
生まれを気にする人物も多いなか、核心を突いた杉元のセリフにしびれた読者も多いのではないでしょうか。なんのために生きるか、目的意識がはっきりしている杉元だからこそのセリフでした。
【ゴールデンカムイ】杉元佐一と関連人物
杉元の魅力は、他の人物との関係性でより発揮されます。
どのような関連人物がいるのか、見ていきましょう。
相棒・アシㇼパとの絆
杉元とアイヌ民族の少女・アシㇼパの出会いは、杉元が砂金採りをしていた際にヒグマに襲われたところをアシㇼパに助けられるというものでした。
杉元は幼馴染の治療費のため、アシㇼパはアイヌの隠し金塊のいざこざで殺された父の真実を探すために、金塊を探すという目的で一緒に旅をはじめます。
初めは利害が一致しただけの2人でしたが、寝食をともにするにつれ、その絆は深まりお互い相棒と呼べるまでに。
杉元はアイヌの食文化に、アシㇼパは和人の食文化に馴染めないこともありましたが、旅をするうちにいつしかお互いそれが好物となりました。
様々な修羅場を潜り抜け、お互いがかけがえのない存在になっていくにつれ、杉元はアシㇼパの手を汚させずに、アイヌの静かな暮らしに戻したいと思い始めます。一方でアシㇼパは杉元と対等の立場になりたいし、できればずっと一緒にいたいと思うように。2人の思いがすれ違っていきますが、最終的にはともに戦う相棒としてその絆は確固たるものになるのです。
白石由竹との友情
杉元と入れ墨脱獄囚・白石由竹は、敵同士として出会いました。
しかし、出会った山で急な大寒波に襲われ、2人は敵ながら協力しないと生き残れないという絶体絶命に。
揉めながらも2人協力して生き延びます。
ここから白石も旅に同行し、白石の裏切りなどはありつつも、杉元は「アシㇼパさんを頼んだぞ」と白石に託すまで信頼を置くように。寅次が杉元に梅子を頼んだことを思うと、杉元の白石への信頼は非常に厚いことが伺えます。
その後、杉元がアシㇼパを思うあまり自分の意見を押し付けてしまっていた際も、白石に一喝され考えを改めていました。金塊を巡る旅で、杉元は本気で叱ってくれる友人も手に入れたんですね。
尾形百之助との確執
杉元と陸軍第七師団所属・尾形百之助は、小樽の山で敵同士として出会いました。
ここで尾形に重傷を負わせたことで、杉元は第七師団にその身を狙われることになります。
その後、第七師団を裏切った尾形は一時的に仲間として行動しますが、網走監獄にて杉元の頭を撃ち抜き、アシㇼパを連れて樺太へ逃げるという裏切りをしでかします。
元々そりが合わない2人でしたが、これにより杉元と尾形の確執は決定的なものとなり、会えばお互いをつけ狙う関係となるのです。
アシㇼパの手を汚したくない杉元と、アシㇼパの手を汚したい尾形という対比が際立つ、対照的な2人の命のやり取りは非常に見ごたえがありますよ。