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もともとは魔夜峰央さんが30年ほど前に書いた未完の短編だったはずなのに、今掘り返してそのビジュアルを完全再現した揚げ句にこんなに面白い超大作になるなんて、衝撃以外の何物でもありませんでした。
しかも、埼玉を徹頭徹尾ディスりまくっているのに、こんなにも埼玉県民に愛される映画に成長するとは！
東京に虐げられていた埼玉を開放すべく暗躍していた高校生・麻実麗を演じるのはGACKTさん。
ご本人が「まさかの高校生役」と苦笑していましたが、違和感なく受け入れられる美麗さでした。
そしてもう一人の主人公が、二階堂ふみさん演じる美少年・壇ノ浦百美（ももみ）。
彼は東京都知事の息子にして、学園では大変な権勢をふるっている生徒会長だったのですが。
百美は麗に恋をしてしまったのです。
魔夜峰央さんお得意のBL展開でしたが、その描写は大変ピュアで、その恋に突き動かされて、百美は埼玉解放運動に身を投じていくことになるのです。
トンデモ過ぎて、他の県ならきっと大変なことになっていただろうと笑って許したのが、当時の上田埼玉県知事でした。
「悪名は無名に勝る」と大歓迎したという県庁でのインタビューが話題になっていましたね。
誰が見ても爆笑できること間違いなし。
そういう意味で良作です。

とある時代の東京では、埼玉県民を徹底的に迫害しており、彼らは貧しい生活を強いられつつ、東京都内に入れないよう監視される屈辱的な生活を送っていました。そんなある日、東京屈指の名門校に、大手証券会社の息子でアメリカ帰りの麻実麗（GACKT）という美男子が転入してきます。そんな麗を最初は苦々しく思っていた生徒会長の壇ノ浦百美（二階堂ふみ）でしたが、次第に麗に魅かれ始めます。しかし、その麗が実は、埼玉県民だということが発覚し・・・・というのがこの物語の前半部分の主な内容です。埼玉県民を徹底的に迫害するこのコメディ映画、最初はバカバカしいと思って観ていましたが、次第にクセになり、いつしかこの奇天烈な世界観にどっぷりはまってしまいました。「白小鳩が書かれた草加せんべい」を踏み絵のように扱うなど、小ネタ一つ一つもバカバカしい限りなのですが、大真面目に演じる役者さんたちが失笑を誘い、何とも言えない世界観を作り上げています。衣装やキャラクター設定も独創的で、まさに魔夜峰央ワールド全開。「パタリロ」大好きだった私たち世代には、たまらない映画です。でも、埼玉を迫害するこの心理、どこかコロナ差別に通ずるものもあるのでは、などとも感じます。もしかしたら、一見バカバカしく見えて、実は壮大なテーマが隠された映画なのかもしれません。

1980年代、「花とゆめ」に掲載された魔夜峰央の原作漫画を2019年に映画化。
東京都内名門白鵬学園に美男子で学業成績優秀、スポーツ万能な麻実麗という生徒が転入してくる。生徒会長で理事長の息子白鵬百美は反発しながらも次第に麗に惹かれていく。しかし、麗は埼玉の名家の息子で埼玉解放戦線のリーダーだった。やがてその事が百美にもバレてしまう。麻実麗をGAKTOが百美を二階堂ふみが演じています。BL要素の強い作品ですが二階堂ふみが女子らしさを消して上手く演じています。原作漫画は知っていましたが、まさか30年以上経って映画になるとは思ってもみませんでした。都民の埼玉県人へのディスりが尋常でない。東京と埼玉の間には関所があり、通行手形がなければ埼玉県人は東京に入れない。埼玉県人は都内でケガや病気をしても医者に診てもらえない。埼玉県人は都内の百貨店への出入りも禁止されている。笑いどころ満載です。(埼玉の人ごめんなさい)映画版では原作にない阿久津(伊勢谷友介)がリーダーを務める千葉開放同盟が出てきます。最後に埼玉解放戦線と対決します。埼玉解放戦線の伝説のリーダー「埼玉デューク」は誰だったかって？あの人です。ホントピッタリのはまり役ですね。

埼玉県はとくに魅力的な観光名所もなければ、名産もない。
なんにも魅力がないという自虐的な県民が多く、私自身もそんな埼玉県出身なのですが、
この映画はそんな埼玉県民なら絶対に楽しめる作品です。
というのも、埼玉県民へのディスりがこの映画の根本のような部分なのですが、
そのディスりのセンスが非常に面白くて、最後まで笑いっぱなしでした。
特に序盤の、東京都民の生徒会長から埼玉県民に発せられる
「埼玉県民にはそこらへんのくさでもくわせておけ！」というセリフや、東京都民の生徒の「口がさいたまになるわ！」
というセリフが大好きで、私の中でしばらくブームでした。
生徒会長役の二階堂ふみの演技もふりきっていて、それも見どころの一つではないかと思います。
はなわの歌う、「埼玉県のうた」というエンディングテーマも、埼玉の特徴を表現している歌詞がとても良いので、最後の最後まで楽しめます。
また、埼玉の隣県も、日本の秘境といわれるの群馬や、茨城、千葉も映画の中ではディスられているのですが、それぞれの県の特徴が現れているのがまた面白いところです。
ちなみに映画の中で「埼玉ポーズ」というポーズをとるシーンが何回か出るのですが、映画の中のものだと思っていたら、実際に埼玉県の間で流行っていたことのあるポーズなのだそうです。
こんなポーズがあるなんて、この映画を見てはじめて知りました。