『古畑任三郎』シリーズがフジテレビでドラマとして映像化(1994年~2006年)
三谷幸喜さんを語る上で一番最初に出てくる作品です。主人公・古畑任三郎を田村正和さんがしたことに面白みを感じた作品です。味のある演技とクセのある演技の融合が見事で、最終回を迎えて20年以上経つ作品ですが、今だにモノマネをする人が多いのはそれだけ魅力的な役柄だったのだと感じます。
普段は飄々としている古畑ですが、事件が起こった際に事件現場での観察力、洞察力の鋭さには毎回驚かされます。最初から知っていたかのように犯人に近づいていく姿に、犯人の立場からすると古畑は恐怖の対象でしかないと感じました。犯人との何気ない会話のやり取りや表情の変化などから犯人であると確信し、犯人に語られる古畑の推理の完璧さにぐうの音もでない犯人の姿は古畑の凄味を感じます。普段の飄々とした古畑と事件解決の際に見せる鋭い古畑というギャップが魅力的であり、どんな推理を見せてくれるのか毎回楽しみな作品でした。
『ラヂオの時間』が映画として映像化(1997年)
応募者が少なかったラジオドラマのシナリオコンテストで、優勝者のシナリオをもとにラジオドラマを制作していく過程を描いた映画。ラジオドラマには無限の可能性がある。映画やドラマや舞台では大道具や小道具をそろえなければできないセットもラジオではたった一言、舞台はアメリカ。とかいえばいいだけ。印象に残ったセリフだ。そのかわり必要となってくるのが音響効果で、この映画ではとくに重要な役割を果たす。でてくる俳優さんは曲者だらけでいいたいこと言って、シナリオは2転3転。熱海が舞台だったはずがなぜか宇宙に行っちゃう? 法廷もの? なんじゃこりゃってドタバタな展開に、ラストの方はおもいっきり笑った。藤村俊二さんがいい味を出してます。またみたいな。
『みんなのいえ』が映画として映像化(2001年)
当時、公開初日に友達と見に行ったのを覚えています。家を建てる、という内容だけで、これだけ笑えるんだ!と思うような、笑いの連続でした。爆笑というより、クスクス笑える感じが好きでした。登場人物たちのキャラクターが豊かすぎて、実際こんな人たちに囲まれたら大変だろうけど、全員が可愛らしくて憎めない感じで良いです。神主さんの香取くんの動作ひとつとってもすごく面白いし、大工の頭領さんとデザイナーさんとの、お互い引かない対決、間に挟まれておどおどしてばかりのお婿さん、みんなの言動がおかしくて笑わずにはいられませんでした。ツボにハマる人は多いのではと思います。出来上がった家が、結構普通の外観だったのも笑えるポイントでした。
『THE 有頂天ホテル』が映画として映像化(2006年)
大晦日から年が明ける2時間を描いた作品であり、ホテル内のところどころで起こる問題が少しずつ繋がっていく伏線に最後まで目が離せない作品でした。役所広司さん演じる副支配人が様々な問題を忙しく解決していく姿、そしてどんなに忙しくてもお客様第一の行動にホテルマンの凄味を感じられます。2時間の間に盛り込まれた問題の数々に忙しさを感じますが、年が明けた途端に何事もなかったかのように新年を迎えた喜びを共有するお客様、そしてホテルスタッフの姿は素晴らしさを感じられます。最後に幸せを感じられる結末に「楽しかった」と思える作品でした。笑える見どころがたくさんある中で、お客様第一であるために総支配人の頼みである「クレンジングクリームを持って来てほしい」という依頼が年を明けても叶えられない姿は面白く、最後まで笑いに抜かりない映画でした。
『ザ・マジックアワー』が映画として映像化(2008年)
三谷さんに多分こだわりがあるのでしょうが、明らかな時代設定は無いけれど、何故かどこか懐かしい、昔の良き時代!という雰囲気の映画で、私の趣味にピッタリでした。三谷作品は登場人物が魅力的な人ばかりで、悪役っぽい人も憎めないし、見終わってからもほっこりして良いです。マフィアのボスですら、なぜか可愛らしく見えてしまいます。この映画ではとくに、佐藤浩市さんの魅力で溢れていました。硬派な役のイメージだったので驚きました。素敵な役者さんだと思いました。妻夫木くんや深津さん、綾瀬さんもとても良かったです。そして、タイトルにもなっている「マジックアワー」がとても綺麗で、この映画を見て以来、夕暮れ時にはマジックアワーを意識するようになりました。
『ステキな金縛り』が映画として映像化(2011年)
弁護士をしている宝生が、殺人容疑をかけられた被告人の証言した「事件当日はずっと金縛りにあっていた」という事実を確かめるために訪れた旅館で、落ち武者の幽霊である六兵衛と出会ったことから展開するストーリーであり、幽霊を裁判で証人として依頼するという展開に面白みを感じました。六兵衛自身もえん罪で命を落としたために被告人の無実のために協力的になってくれる姿に胸が熱くなります。しかし六兵衛の存在が見える人、見えない人がいるために、殺人事件での裁判が六兵衛の存在を立証する裁判になってしまっている脱線した様子が面白く、また見えない人が多いことをいいことに好き放題に動き回る六兵衛の姿が笑いどころでした。見える人、見えない人、そして死者と生者が混在する最後の裁判シーンは見どころで、あり得ない展開でありながらスカッとできる作品でした。六兵衛を演じる西田敏行さんの人間味溢れた演技はユーモアたっぷりでストーリーと共に見どころな作品でした。
妻を殺害した容疑で夫が被告となる法廷物で、唯一の目撃者が落ち武者の霊。落ち武者役を西田敏行がやってる。みえない幽霊をどうやってみえるようにするかのドタバタはもどかしい限りで、こんな手があるのかぁ~とか思わされた。できるならまた会いたいあの人もこうやって会うことができるのかなぁって思ってしまった。なんでも筋書き通りとか、理屈っぽい人にはつまらない映画になってしまうのだろう。つっこんだらつっこみきれないところもある。裁判の方ですが、最後の最後には一番間違いない人からの証言で無罪が犯人がだれかわかるんだけど、すべての殺人事件がこんな風に証言を得ることができたら、迷宮入りはなくなるんだろうなと思った。
『清須会議』が映画として映像化(2013年)
織田信長なきあとにどうするかを相談して決める清須会議がメインの映画。戦国時代の映画だっていうのに、血みどろの合戦シーンはなし。ものたりないっていえばそうなのかもしれないけれど、あとでじわじわくる映画に仕上がっている。根回しとかまぁたいくつ気味なやりとりが続くのだけど、その合間にちらっちらっと戦に出ていたある武将が出現する。だいぶ前にみたので、滝川一益だったんだろうかと思うのだけど。最初はこれはなんじゃって邪魔程度にみてたんだけど、それがお約束になってくる。結局そうでもしないと場面が城だけになってしまうので、外も映そうかなってことなのだろうけど、これは好き嫌いが分かれるところ。史実的には間に合わなかったらしいけど。こういう遊び要素は三谷幸喜作品の真骨頂なのではないかと思う。
『真田丸』がNHK大河ドラマとして映像化(2016年)
歴代大河の中でも名作だと思います。2,30年後も、ぜひ語り次がれていてほしい作品です。三谷幸喜さんの、真田幸村への愛と尊敬が溢れていたと思います。そして、真面目なシーンの連続でも、所々クスッと笑えるシーンがあったり、ユーモア織り交ぜた、緩急自在な感じがさすがだなと思いました。長い大河ドラマですが、飽きさせない感じです。三谷さん作品はこういう部分が面白いです。登場人物もみんな魅力的で、役者さんたちも素晴らしいと思いました。主演の堺雅人さんのファンで、本当に演技が素晴らしかったし、周りの皆さんもすごかったです。さすが大河だなと思いました。草刈さんも素敵でした。戦のシーンでは赤い甲冑がとても映えていて、かっこよかったです。
小栗旬主演「鎌倉殿の13人」大河ドラマ
2022年1月9日からNHKの大河ドラマとして放送開始された「鎌倉殿の13人」も三谷幸喜さんの脚本によるドラマとなっています。
小栗旬さんの初大河主演作品でもあり、三谷幸喜さんは「新選組!」「真田丸」に続いて3作目となる大河ドラマとなります。
その他三谷幸喜さん脚本作品
やっぱり猫が好きシリーズ(1988年 - 1991年 フジテレビ)
君たちがいて僕がいる(1992年 フジテレビ)
振り返れば奴がいる(1993年 フジテレビ)
今泉慎太郎(1996年 フジテレビ)
王様のレストラン(1995年 フジテレビ)
竜馬におまかせ!(1996年 日本テレビ)
総理と呼ばないで(1997年 フジテレビ)
今夜、宇宙の片隅で(1998年 フジテレビ)
合い言葉は勇気(2000年 フジテレビ)
新選組!(2004年 NHK大河ドラマ)
わが家の歴史(2010年 フジテレビ)
オリエント急行殺人事件(2015年 フジテレビ)
誰かが、見ている(2020年 Amazon Prime Video)
ギャラクシー街道(2015年)
記憶にございません!(2019年)