湊かなえさん原作で映像化されたドラマ・映画一覧
小説家、あるいは脚本家としても活躍する湊かなえさんの小説が原作となったドラマや映画作品についてまとめました
ジャンル | 作品名 | 公開年 | TV局 |
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映画 | 告白 | 2010年 | |
ドラマ | 境遇 | 2011年 | テレ朝 |
映画 | 北のカナリアたち | 2012年 | |
ドラマ | 贖罪 | 2012年 | WOWOW |
ドラマ | 夜行観覧車 | 2013年 | TBS |
ドラマ | 花の鎖 | 2013年 | フジテレビ |
ドラマ | Nのために | 2014年 | TBS |
映画 | 白ゆき姫殺人事件 | 2014年 | |
映画 | 少女 | 2016年 | |
特別ドラマ | 往復書簡〜十五年後の補習 | 2016年 | TBS |
ドラマ | 美しき三つの嘘(第1話) | 2016年 | フジテレビ |
ドラマ | 望郷 | 2016年 | テレビ東京 |
ドラマ | 山女日記〜女たちは頂を目指して〜 | 2016年 | NHK BSプレミアム |
映画 | 望郷 | 2017年 | |
ドラマ | リバース | 2017年 | TBS |
ドラマ | 山女日記〜山フェスに行こう/アルプスの女王〜 | 2017年 | NHK BSプレミアム |
ドラマ | ポイズンドーター・ホーリーマザー | 2019年 | WOWOW |
ドラマ | 山女日記3 | 2021年 | NHK BSプレミアム |
映画 | 母性 | 2022年 |
『告白』が映画として映像化(2010年)
松たか子さんが、自分の生徒によって娘を殺された教師の森口悠子を迫真の演技力で見事に演じていて、圧倒的な存在感があったと思いました。終業式の後から教室で「愛美はこのクラスの生徒に殺されたんです。」と、無機質に淡々と丁寧語を使って語るシーンは、背筋が凍る怖さがありました。娘の復讐のために自分は手を下さず、ジワジワと追い込んでいくやり方が怖すぎました。岡田将生さんが、悠子の代わりの担任の勘違い熱血教師を上手く演じていて、良かったと思いました。生徒をニックネームで呼んで、自分のこともウェルテルと呼ぶように求める能天気さが、痛々しかったです。木村佳乃さんが、下村直樹の母親0時0分過保護で典型的な教育ママを熱演していたと思いました。犯人Aの修哉が、仕掛けた爆弾を悠子が解除して修哉が恋こがれている母親がいる、研究室に仕掛けて、それを知らない修哉がスイッチを押して母親を殺してしまったと修哉を追い込んでいくのが、恐怖がどんどん増幅していってほんと胸が、苦しくなっていきました。そして最後に「な~んてね」という言葉が発せられたことで頭が混乱してしまいました。教育者として、生徒を更正させるような感じで話していますが、私は決して許さないという強い気持ちがあらわれていると思いました。
娘を殺された中学の女教師が殺した生徒らに復讐する話です。その復讐の仕方が大人なら引っかからないだろうなってことなのですが、中学生なら恐怖に怯えるだろうという内容でとてもおもしろかったです。そのこときっかけでのいじめ、容疑者の1人は引きこもり、もう1人は行動するってのも違いがあっておもしろいです。容疑者の中学生もいろいろ抱えていて、だから小さな子を手にかけていいってわけでは無いですが、なんか哀れでした。最後はどうなるのかなと思って見ていたらびっくりの展開でした。キャストもすばらしく、松たか子さんの女教師は淡々と復讐内容を話していて怖かったし、クラスを引っ掻き回す迷惑な熱血教師役の岡田将生もよかったです。なかなかショッキングな演出も多くて楽しめました。
『贖罪』がWOWOW(連続ドラマW)でドラマとして映像化(2012年)
小泉今日子さんが、一人娘を殺された母親の麻子を、迫真の演技力で圧倒的な存在感があったと思います。仲良しの友達4人に向かって「あんたたちのことを絶対に許さない、何としても犯人を見つけなさい。でなきゃ私が納得するような償いをしなさい。」と呪いのことにをはくシーンが、怖すぎました。小学4年の子供には震えあがるほどの恐怖だったと思います。紗英、真紀、昌子、由佳の運命の分かれ道に、いきなり現れる麻子は、まるで魔女のようだと思いました。蒼井優さんが、成人になるまで初潮をむかえず、男性に怯える紗英をさすがの演技力で演じていて、素晴らしかったと思いました。結局、麻子がやったことは自分勝手で悲惨な結末をむかえたのは、自業自得だと思いますが、ほんとに悪意があった訳ではないのでとても切なくてやりきれない気持ちになりました。
子供の頃の仲良しグループの1人が変質者に殺されたことを契機に起こる物語です。死体を発見し、被害者の母親に責められた面々はそれがトラウマとなって、それぞれ問題を抱えていてそこがおもしろかったです。それぞれの人に焦点を当てて描く連作ドラマで、わかりやすかったですし、この子はどんな大人になったんだろうかと毎回楽しみでした。大人になることを体が拒んだり、警察官に憧れを描いたり、みんな時間の影響をもろに受けていました。友達の遺体を発見してしまった女を演じている役者もみんな実力派女優さんですし、それぞれタイプも違っていて面白かったです。犯人の心理ははっきりいって、よくわからないところがあるのですが、怖かったです。また、殺された少女の母親を小泉今日子が演じていて、それもまた怖かったです。
『夜行観覧車』がTBSでドラマとして映像化(2013年)
高級住宅街に住む豊かな家庭という誰もが憧れる設定で、羨ましいなと思って見始めていましたが、そのような家庭にも悩み、葛藤はたくさんあるんだなということをかんじました。とくにこのドラマで1番印象に残っているのが、鈴木京香さんと杉咲花さんの演技力です。2人が取っ組み合いになりながら喧嘩するシーンがあるのですが、そこでは2人とも目の色がガラリとかわって別人のような演技を見せていました。あんなに鳥肌が立った演技はなかなかありません!そして話の途中から家庭がバラバラになっていった遠藤家がどうなっていくのかもいつも目を奪われました。ストーリーもとても深くて考えさせられることも多いまた見たいと思えるドラマでした。
『白ゆき姫殺人事件』が映画として映像化(2014年)
事件の真相をジャーナリストが取材した相手の証言から明らかにしようという作りのお話でした。1人の人間のことを言っているのに証言者によってこんなにも違うのかってのがおもしろいです。たしかに、いい人の面だけの人はいないし、いい、悪いなんて主観なのかもしれません。また、容疑者のことがネットで晒されたりしていて、そこもまた怖いなと思いました。なんか、まだ犯人と決まってなくても犯人扱いって現実にもあるから、妙にリアルでした。キャストも井上真央さんや綾野剛さんなど味わい深い人が多数出ていて楽しめました。まあ、原作だとほんとほぼ取材ノートみたいので構成されていて、それが新しい感じだったので、映像でより小説のほうが向いている作品だったかもしれません。でも、誰が犯人なんだろうかとドキドキできました。
『Nのために』がTBSでドラマとして映像化(2014年)
自分にとって大切な人はどんな人なのか、そしてその人のためにわたしがいまできることはどんな事なのかとても考えさせられるドラマでした。このドラマでは榮倉奈々さん演じる望は、大切に思う成瀬のために成瀬の犯した罪も一緒に被る決断をします。そのシーンではわたしは大切な人のためにここまでできるのだろうかと深く考えてしまいました。また、本当に人を愛するということはそういうことなのだと強く教えられた気がします。ただ大切に思うだけでなくその人のために何ができるのかという「究極の愛」がテーマのこのドラマはわたしのなかで大きな意味を持ちました。今まで見てきたすべてのドラマのなかでNのためにがナンバーワンのドラマです。
『リバース』がTBSでドラマとして映像化(2017年)
大切な親友が事故で死んだと思っていたのに、その死に自分があまりに大きく関わっていたことが徐々に紐解かれていくストーリーに話が進むにつれて目が離せなくなっていきました。そして自分の犯した過去の罪を消そうとして生きてきた主人公が罪はなにがあっても罪として消えないことを悟り、それを高校生に訴えるシーンはとても胸に刺さりました。自分がしてしまったことと向き合うことはとても怖いことだけど、絶対に逃げてはいけないこともあるのだということを学びとても印象に残りました。ドラマは約10話ほどあるのに話もしっかりしていて、ミステリーとしてちゃんと伏線も回収していてさすが湊かなえさんだなとおもう作品の一つでした。
藤原竜也さんが、何をやってもイマイチな冴えないサラリーマンを、さすがの演技力で見事に演じていて、すごいと思いました。いつもオドオドしていて、不器用で人がいい深瀬を、演技ではないように役になりきっていて素晴らしかったです。親友の広沢由樹が亡くなった真実は、そばアレルギーの広沢に、そばの蜂蜜を入れたコーヒーを、渡した自分だったことを知って事の重大さと、広沢に対して申し訳ないよ気持ちを表情で演じていて、すごかったと思いました。小池徹平さんが、優しくて儚い笑顔で心から深瀬のことを、大事な友達だと思っていたのは、切なくてかわいそうでなぜこんな結果になってしまったのか、とても悲しくなりました。戸田恵梨香さんが、とても可愛くて安定した演技力でとても良かったと思いました。最後に、みんなで広沢の実家に行って両親に全てを話すシーンが良かったです。お母さんが、なんであの子が死ななければならなかったの、という言葉が胸に刺さりました。お父さんが、生きていた時の息子の事を聞かせてくれと言って、また来てくれというところは胸が熱くなりました。全てを打ち明けた後、深瀬が少しずつ強くなっていって成長していく姿が、良かったです。
その他湊かなえさん原作のドラマ・映画
- 境遇(2011年)
- 花の鎖(2013年)
- 望郷(2016年)
- 北のカナリアたち(2012年)
- 少女(2016年)
- 望郷(2017年)