『白い巨塔』がフジテレビでドラマとして映像化(2003年)
医療系のドラマが苦手な人でも、このドラマなら見られると思います。医療ミスをきっかけに教授である財前という男の人生が崩れていきます。人間の醜い部分が存分に描かれている作品でもあり、目が離せませんでした。2人の医者がメインに描かれているのですが、まるで天使と悪魔を見ているようでした。お金、地位などに目が眩み、人間というのはこんなにも浅ましい行動をとってしまうものなんだということをこのドラマで思い知らされました。たくさんの嘘を財前が裁かれるときはスカッとしましたが、その財前が病に倒れてしまったときは、物凄く悲しくなりました。それだけこの財前という男が魅力的に描かれていたからだと思います。たくさんの豪華な俳優陣の素晴らしい演技も圧巻でした。
田宮二郎版は見たことがなかったのだけど、唐沢さんファンなので全話を何度も見返しました。第1部は教授になるまでの闘いぶりですが、次から次にくるピンチにハラハラします。実際の教授戦もこんなにドロドロしてるの?と驚くと共に目が離せませんでした。第2部は教授になって以降の話ですが、裁判では明らかに財前教授に否があり、隠蔽工作までしているのに、どうしても「財前教授は悪くない!五郎ちゃんは悪くない!」と思ってしまいました。病に倒れ、残した遺書には、感動でも同情でもなく、なんとも言えない気持ちになり、終わった後はしばらく動けませんでした。このような、ある意味悪役を視聴者に嫌われないような作品にするには、脚本が素晴らしくないと無理だと思います。他の役も面白い役ばかりで、魅力ある登場人物ばかりでした。重厚で素晴らしい作品だと思います。
『14歳の母』が日本テレビでドラマとして映像化(2006年)
社会問題ともなっている未成年の出産。ありがちな非行に走っての結果ではなく真面目に考えて行動しての妊娠・出産で見ながらどこか他人事で、あり得ない話ではないけど身近には感じませんでした。ただ、配役の皆さんの演技力は素晴らしかったと思います。出産なんて経験ないはずなのにすごい表現力でその点は引き込まれました。その時はただ1作品としてなんとなく見ていただけですが、自分の子供が成長するにつれ作品を思い出し、今になって色々考えさせられています。ただ「ドラマ」ではなく、社会に訴える内容だったんだと感じています。私自身の未成年の出産のイメージもかなり変わったり(昔はいわゆるヤンキーのイメージ)、実際今の時代の未成年出産もかなり変わっています。この作品は子どもたちよりもそうなった時の親も含めて周りの大人が学ぶためにも見ていい作品だと思います。
中学生が妊娠をするという衝撃的な内容で、見るかどうか悩んだところもありましたが、主人公が真摯に命と向き合う姿に目が離せなくなりました。このお話を考えた井上さんはすごいなと何度も思う場面がたくさんありました。まずこのドラマは世間一般の人間のものの見方がいかにシビアなものなのかということをリアルに感じさせられます。14才が妊娠するなんて皆んなは人としておかしい行為だという目で見るのです。しかしそんな目に負けない主人公の強さには常に母親を感じさせるものがありました。そして、親が子どものことをどれだけ思っているものなのかということも、このドラマを見て改めて学べたように思います。衝撃的な分、学ぶことがたくさん詰まった作品でした。
すごくチャレンジングな内容のドラマですが、とても面白かったです。オンタイムで視聴しましたが、毎回、次回が楽しみでした。主演の志田さんは若いのに大変だっただろうなと思いますが。自分の周りには、14才で母になるような、こんな経験をした子はいないけど、多分実際には沢山いるのだと思います。そんな子たちを一方的に責めるわけではなく、擁護するでもなく、事実を包むような脚本だだったのがよかったと思います。説教臭くもなく、悲劇っぽくないのもよかったです。このドラマをきっかけに、自分だったらどうするのだろう、と考えたこともあります。実際に14才で母親になった子は、それからが大変だろうけど、最終回は主人公が明るい表情なのもよかったです。中学生くらいの若い子に見てもらいたい作品です。
『昼顔』がドラマと映画で映像化(2014年・2017)
井上由美子さんと聞けばはやり最初に浮かぶのがこれです。ドラマが始まったときは 見ていませんでしたが、話題になってから見始めて非現実的でもあり実は身近でもありそうだったり・・・微妙な設定と実際にはなくても感情の中では「あるある!」という切なさとじれったさと見ていて引き込まれるストーリー展開でした。
子供向けでは決してないですが、大人・・・特に主婦には自分にはあり得ないけど憧れる部分、仮想で自分に置き換える人が多かったのではないでしょうか。医療ものや刑事ものとは違って日常の中での話なので、非現実的ではあってもどこかで「あるかも・・・」なんて想像させてくれる作品だったと思います。映画化等続編が出る時点で支持の大きさも物語っていると思います。
どうなっていくのか分からないハラハラドキドキする作品でした。不倫をあんなに堂々とテーマにした作品はなかなからないので衝撃的でした。主人公の紗和が裕一郎と出会ったことにより、どんどんと恋にのめり込んでいく姿が印象に残っています。夫婦というのはどんなものなのか考えさせられたと同時に恋愛の恐ろしさも感じられました。そしてこの作品でイメージが変わったのが上戸彩さんです。主人公の紗和を演じているのですが、井上さんのこのストーリーによって、上戸さんの新たな一面が垣間見れたような気持ちになりました。許されない行為である不倫。紗和が裕一郎と幸せになれないという結末に井上さんの凄さを感じさせられました。
『BG~身辺警護人~』がテレビ朝日でドラマとして映像化(2018年・2020年)
単純にハラハラドキドキと主人公にイライラしたりと楽しめる作品だと思います。刑事ものに近いイメージで見始めましたが、親子・元夫婦の人間模様もあり、この中で「SP」と一般の「ボディーガード」の違いも知り、同じことをしていてもずいぶん違うんだと感心させられました。が、「SP」と違って組織に縛られないから出来ることだしドラマになるんだなーと目の付けどころも素晴らしいです。体を張っての仕事がかっこいいだけではなく、実際にドラマの中で殉職するシーンもあり、ドラマなのに「この場合一般の会社だから保証はどうなってるのだろう」とか余計なことを考えるくらい作品に入り込んでいました。家族そろってテレビを見る機会は余りないのですが、このドラマはほぼ毎回全員そろって楽しみに見ていました。続編が短くて本当に残念です。。。
『マチネの終わりに』が映画として映像化(2019年)
原作、作者の大ファンで、何度も読んでいました。それが映画化されるということで少し不安もあったのですが、私の中の原作のイメージそのまま!という感じの映画でした。むしろ、コンサートのシーンなど、可視化されて魅力が増した部分もあると思います。福山雅治さんも石田ゆり子さんもイメージにぴったりだし、お似合いのカップルだと思いました。大人の切ない恋愛模様が、原作を読んでいる時も心にせまってきましたが、映画も感情移入ができてとても良かったです。この恋愛に関しては誰が悪いわけでもなく、大人になるっていうのは、ちょっと悲しいなぁと思いました。ギターの音色は切ない感じがして、ピアニストやバイオリニストじゃないところがいいな、と思いました。
その他井上由美子さん脚本作品
- この指とまれ!!(1995年)
- この指とまれ2(1997年)
- 連続テレビ小説 ひまわり(1996年)
- ギフト(1997年)
- きらきらひかる(1998年)
- 再婚トランプ(1998年)
- タブロイド(1998年)
- 危険な関係(1999年)
- 天の瞳(2000年~2002年)
- 大河ドラマ 北条時宗(2001年)
- 忠臣蔵1/47(2001年)
- GOOD LUCK!!(2003年)
- エンジン(2005年)
- 火垂るの墓(2005年)
- ファースト・キス(2007年)
- パンドラ(2008年~2018年)
- SCANDAL(2008年)
- サムライ・ハイスクール(2009年)
- 緊急取調室(2014年・2017年・2019年)
- まっしろ(2015年)
- 遺産争族(2015年)
- ハラスメントゲーム(2018年)
- 炎上弁護人(2018年)
- シャーロック(2019年)
- ジャンプ(2003年)