池井戸潤さんといえば、大逆転劇を描く小説家として非常に有名な方ですが、人気がゆえにドラマ化・映画化されている作品が数多くあります。
今回はそんな池井戸潤さん原作でドラマ化・映画化された人気作品を厳選してみました!
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『半沢直樹』2013年・2020年にTBSでドラマ化
銀行員物語としてはとてもリアルで、常に危機にさらされる半沢と一緒になって、手に汗を握ってしまうドラマです。半沢のこの強いエネルギーはどこから来ているのかというと、工場を経営していた父の自殺でした。父は経営していた工場が立ち行かなくなり、融資を依頼した銀行からも冷たくされ追い詰められ、自殺するしかなかったのです。そんなことをする銀行の世界を変えたい、もっと人間的な銀行群にしたいという信念で、一つの銀行に入り登って行くのです。それは、正義の復讐かも知れません。その怨念にも似たエネルギーが、銀行内で起こる不正に対して、熱いエネルギーのほとばしりとなります。大和田常務を土下座させたシーンは、その半沢の人生の復讐劇の一つの完結でもあったのでしょう。そのシーンは今でも脳裏に刻み付けられています。サラリーマンとしての正義の勝利なのです。
『陸王』は2017年にTBSでドラマ化
足袋型ランニングシューズという、馴染みのない商品がテーマですが、新商品を開発し、ヒット商品に登りつめるまでの過程が非常に興味深いです。
それと並行して、茂木選手の栄光と挫折、そして復活するまでの紆余曲折も、それだけでストーリーとして成り立つのに、自然と陸王と絡めてくる流れが秀逸です。
宮沢社長は、ライバル会社からの圧力に屈することなく、茂木選手の信頼を勝ち取るまで食いついていく暑苦しさが、昭和のオヤジという感じがします。
正直、息子の大地のように、最初はウザい、しつこいと思ってしまいます。でも、彼の人間性には不思議と説得力があり、最終的には煙たがっていた人間も虜にしてしまいます。こういう、人たらしの性質は、やはりビジネスにおいても、人間関係においても大切なんだなと気付かされます。
会社のこと、家族のこと、マラソンのことと盛りだくさんな内容なのに、すっきりわかりやすいストーリー展開の名作だと思います。
資金の問題、大企業との競合などによって会社のリスクを背負ってまでも自らの意志を貫く社長に多くの勇気を与えてくれるからです。
どんなに会社が苦しい展開であろうと、社長を信じて靴を作り続けるこはぜ屋の一体感に、本来あるべき会社の理想像も描かれています。
そして、何と言ってもこはぜ屋の想いを一心に背負って走る茂木に多くの人が心打たれます。こはぜ屋は茂木のために靴を作るが、靴大手メーカーの
スポンサー契約によって履いてくれないのです。それでも、履いてほしいと懇願するこはぜ屋と選手生命をかけて走るためにどちらを履くか決断に悩む茂木。
ラストシーンで茂木が選んだ靴とマラソンの結果に感動するのは間違いなしです。
『下町ロケット』2015年にTBSでドラマ化
いい歳したおっさんが、かつて諦めたロケットを飛ばすという夢に再挑戦するという無謀な内容ですが、全力で応援したくなります。
バルブシステムという非常に小さな部品がロケットの心臓部なんだという新たな発見や、その精度が職人の神業によって支えられているという驚きに、ワクワクが止まりません。
財前は最初は大企業のいけ好かない奴という感じですが、佃の職人魂をちゃんと理解していて、零細企業だからと差別しないところが好感が持てます。
融資云々で銀行と揉める件は、池井戸作品あるあるですが、銀行員も鬼ではないという、改心する描写があるところがまた深いです。
佃も熱血社長という濃いキャラクターですが、たとえ敵でも困った人を見捨てることができないお人好しなところが、素晴らしい味だと思います。
佃製作所の社長・阿部寛は宇宙科学開発機構の元研究員だったが、彼が開発したロケットが失敗して、その責任を取って、退職しています。そして父の経営していた佃製作所を継いで社長となっています。しかし、やはり彼は技術畑の人間だから、ロケットエンジン用のバルブの開発に力を入れていきます。こんな彼ですから、ある意味職人肌のような頑固さを持っていますので、色々と周りや社員とぶつかり、悩み苦しみます。つまり夢を持ち続けることは素晴らしいことだが、周囲にとっては物凄く迷惑な面もあるというのを、池井戸さんは克明に描いています。しかし、彼はその未熟な面を少しづつ成長させていくところが観ていてとても美しいと思いました。吉川晃司との出会いから俄然未来が開けていきます。その試行錯誤のなかで、阿部寛は成長し、夢を共有する社員を糾合していきます。夢と現実を見事に合体させる阿部寛の執念が、素晴らしい見どころだと思います。
何と言っても佃社長の情熱がこの作品をすべて物語っているからです。小さなバルブ1つにしても、会社が危機的状況に陥ったとしても佃社長のように
夢と誇りを持って仕事に本気で打ち込む姿に心動かされますし、こんな社長が自分の会社にいたらいいのになと感じます。
仕事で嫌なことあっても、この作品見たらやっぱり仕事っていいなって思わせてくれるし、よし頑張ろうって少しでも前向きになれる作品です。
夢と希望を持っていても自分には無理だと簡単に諦めてはいけないと思いました。
せっかく観るのであれば、ドラマの方がおすすめです。社長役阿部寛が絶妙なキャストですしその他にも豪華ラインナップが揃っています。
全シリーズぜひ観てほしいですが特にガウディ編は号泣間違いなしです。
『民王』2015年にテレビ朝日でドラマ化
総理大臣の父とバカ息子が入れ替わるというお話ですが、一言でいえば笑いあり、感動ありの作品です。
日本の政治や国会についてあまり身近じゃない方にとっても、人より少し詳しくなることができます。
政治は不正なお金のやりとりばかりで、国民のために果たして正しくお金の使い道がされているのかって一度は疑問に思うはずです。
たとえ頭が馬鹿な息子であっても、国民が納得し、国民のための政治を全うしようとする場面が感動します。
観終わると、あなたは思ったことを意見として素直に言えるような人でありたいと思わせてくれます。
せっかく観るのであれば、ドラマの方がおすすめです。特に父役の遠藤憲一と息子役の菅田将暉の演技が文句なし!
『ノーサイド・ゲーム』2019年にTBSでドラマ化
大泉と松たか子が登場するとても家族的なドラマでありながら、企業の中で戦って勝利していく男の生きざまの表現に感動しました。そして、メインはやはり弱小ラグビー部を最強のチームに作り上げていく過程の面白さにワクワクするドラマです。最初、工場に左遷されてラグビー部のメンバーと、心が溶け合う瞬間がとても熱く涙が零れました。スポーツの世界に生きる人は、ひとたびこの人間が本気で物事にぶつかっているということが判ると、心を開くのだということを教えてくれました。大泉はラグビー部の一人一人と心を通わせ、才能を引き出し、一致団結させます。あのパワーは物凄い人間力だと私は思います。もちろん新監督の力もありますが、リーダーの魅力こそが、人を引っ張るのだと感じました。
『空飛ぶタイヤ』2009年WOWOWでドラマ化、2018年に映画化
まず、トラックのタイヤの脱輪事故というかなりヘビーなテーマが、タイトルとのギャップを感じさせます。ですが、長瀬智也さんと深田恭子さんの美男美女カップルが、その重苦しさを和らげてくれるので、家でのシーンが少しホッとします。
そして、長瀬さん演じる赤松とディーン・フジオカさん演じる沢田のイケメン同士の睨み合いもまた、かなり迫力があります。情に訴える熱さ全開の長瀬さんと、ひたすら責任をスルーしようとするクールなディーンさんは、まさに対照的でずっと平行線かとハラハラさせられます。
ですが、最終的には彼も懐柔させられてしまうし、被害者の遺族の心も掴んでしまう赤松の懐の深さには感心させられます。
重いテーマだけに、すんなりと勧善懲悪という展開にならないところがもどかしいです。でも、先が予測不可能なジェットコースター的な展開に一瞬も目が離せません。
『ルーズヴェルト・ゲーム』2014年にTBSでドラマ化
『七つの会議』2019年映画化
池井戸潤さん原作でドラマ化・映画化された人気作品を厳選!のまとめ
池井戸潤さん原作で映像化された作品はとにかくどす黒い性格の悪い奴がたくさんでてきて気分が滅入る部分はありますが、それ以上に何かに突き動かされて前に向かっていく主人公たちの熱い物語に注目です!