『手紙』が映画として映像化(2006年)
山田孝之さんが、兄の剛志が強盗殺人を犯したことによって、一人で生きていこうとする直貴をさすがの演技力で見事に演じていて、素晴らしいです。兄のことで仕事も転々として恋人にもフラれ差別され、殺人という罪の重さに押しつぶされそうになるのですが、妻子を持ったことによって、兄への思いと妻と子供の間で揺れ動く心情を繊細に表現していて、さすがだと思いました。玉山鉄二さんが、お金を盗む目的で民家に入ったけれど、主に見つかってしまい殺人まで犯してしまい、弟のことを思って、獄中から月に一度手紙を書いて送っている剛志を、淡々と演じてとてもいい味を出していて良かったです。ラストで、お笑い芸人として兄のいる刑務所を慰問するシーンは、切ないけれど感動的で泣けて仕方なかったです。
『白夜行』がTBSでドラマとして映像化(2006年)
子供の頃、初恋の少女がひどい目にあっている状況を助けるために、父親を殺した少年と少年をかばうために母親を殺した少女。成長した少年亮司を山田孝之さんが、少女を綾瀬はるかさんが演じています。綾瀬はるかさんが、冷酷になるしかなかった雪穂を、迫真の演技で見事に演じていて素晴らしかったです。雪穂を助けるために罪に罪を重ねて底辺まで落ちていく亮司を、山田孝之さんがさすがの演技力で演じていて、悲し過ぎる生き方に胸が苦しくなりました。圧倒的な存在感を放っていたと思います。2人が望んだことは、最後まで罪を隠し続けて太陽の下で手をつないで歩くことだった。でも、どこまでも追ってくる武田鉄矢さん演じる刑事によって追い詰められて、亮司は命を落としてしまいます。成功した雪穂をお前は行け、と言って最後の最後まで彼女の幸せだけを願っている姿は、切な過ぎて涙が止まりませんでした。必死に振り返らずに歩いていく雪穂の姿も、どれだけ苦しさをこらえているのかを思うと辛すぎました。日本ドラマの最高傑作と言っても過言ではない作品だと思います。
「世界の中心で、愛をさけぶ」の山田孝之と綾瀬はるかが主演。有名すぎる原作でストーリーも知っているのだけれど、それでも見るたび胸が苦しくかるのは、きっと主演の2人の力によるものが大きいと思います。山田孝之は、まさかこの後、怪優ともいえるような八面六臂の活躍をするとは思いもよらないピュアな青年。綾瀬はるかも、変わらぬ透明感が素敵です。連続ドラマだけに原作から膨らませている部分も多いので、原作にはないエピソードを探したりするなどを楽しんで見るのがお勧めです。主演の2人のほか、平田満は憎らしくなるほど素晴らしい。武田鉄矢の暑苦しいほどの熱演も、全体のアクセントとしてとても効果的になっています。
『ガリレオ』がフジテレビでドラマとして映像化(2007年・2013年)
基本的に一話完結型のドラマなのでどの話から見ても楽しめるのがこのドラマのいいところだと思います。
そして主演:福山雅治の変人科学者役がとても堂に入っていて毎週夢中になって見ていました。
どの話から見始めてもガリレオ先生の変人っぷりがいかんなく発揮されているので"実に面白い"です。
またそのガリレオに振り回される内海刑事:柴咲コウとの掛け合い(振り回されっぷり?)も見ていてとても楽しく面白いです。
そしてやはり一番の見どころは真相にたどり着いたガリレオ先生が数式をいろんなところに書きなぐるシーンです。盛り上がりどころのはずなのに「え!?そこに書くの?」とどこにでも数式を書いて事象を証明しようとするガリレオ先生の姿を毎週笑いながら、そして楽しみにしていました。
おすすめの作品です。
幅広い作風の東野圭吾さんですが、ガリレオシリーズに代表される、主人公が個性的なキャラクターものは、主人公を演じる俳優さんが原作のイメージ通りかどうかが映像作品の評価に直結していると感じます。この作品は、湯川学を演じる福山雅治がうまくイメージと合って成功していると思います。さらに内海薫という、狂言回し的な存在を柴咲コウが演じることで非常にバランスが取れたのではないでしょうか。難しい謎も、内海の視点を通すことですんなりと理解できるようになります。また、時にはツッコミを入れたくなるような湯川の言動に、内海が視聴者を代表して切り込んでくれるのも痛快。第2シーズンは吉高由里子演じる岸谷美砂が内海の代わりに登場しますが、個人的には内海のほうが好みです。
『流星の絆』がTBSでドラマとして映像化(2008年)
原作が大好きでそのドラマ化作品ということで見始めたのですが、その完成度の高さに感動し今でも一番大好きなドラマです。
両親を殺された子供たちが大人になったらその犯人を見つけて復讐するというのがメインストーリーなのですが、とても暗く重い話であるはずなのに宮藤官九郎さんの手腕もありコミカルな部分とシリアスな部分がうまく共存していて見ていて全く飽きないドラマになっています。
そして各話盛り上がりどころで流れる"獅子座流星群"のタイミングが完璧で虚しさと切なさが掻き立てられます。
各話共にこの獅子座流星群が流れるシーンはどれをとっても完璧なので未視聴の方には絶対に見てほしいところです。
また三兄妹の演技が素晴らしく、特に二人の兄が妹を大切に思っているのがヒシヒシと伝わってきて兄妹っていいなあ、と素直に思えます。
そして、三人で徐々に両親殺しの真相に近づいていくあのドキドキ感は何度見ても凄まじいです。そして真実が明かされた後のオチまでが完璧で視聴後は思わず拍手したくなる作品です!本当におすすめの一作です!
二宮和也、錦戸亮が兄弟役。アイドル2人ということで敬遠していた人もいるかもしれませんが、2人の若さが良い効果を上げていると思います。妹役の戸田恵梨香が、兄役の2人の重さをうまく受け止めて上手い。重いテーマの作品ですが、随所に遊び心が散りばめられていて、細かい役作りのされたキャラクター1人1人が楽しめます。たとえば、カレーの店「ジョージクルーニー」とそのオーナー役の尾美としのり。ポストイットを貼りまくる桐谷健太。とにかく謎だらけの女を違和感なく演じる中島美嘉。見ていない人には何のことだか分からないこれら細部が、一度はまるとやみつきになる。これはやはり宮藤官九郎脚本のTBSドラマに特有の要素かもしれません。
『麒麟の翼~劇場版・新参者~』が映画として映像化(2012年)
加賀恭一郎シリーズの劇場版作品。
もっともらしい犯人が最初から用意されているので、事件自体は簡単なものに最初は思えます。
けれど、実はそこには複雑な事情が絡んでいてそれが徐々に明かされていくところはやはり東野作品。ゾクゾクします。
本当に見ている方をドキドキさせる作品を作り上げられるなぁと感心するばかりです。
一番の見どころはやはり物語の真相が明らかになったとき、一連の事件をの引き金となった教師を加賀恭一郎が一喝したシーンです。
問題を起こした時はたとえそれがどんなに悪く重いことであっても逃げてはならない、正面から向き合わなければならない、ということを映画を通して伝えたいんだろうなぁと思いました。そして不器用な父親の息子に対する愛もヒシヒシと伝わってきて、初めてこちらの作品を視聴し、すべての真実が明かされた時は号泣しました。
未視聴の方には是非一度は視聴してもらいたい作品です。
その他東野圭吾さん原作のドラマ・映画
- 秘密(1999年)
- 容疑者Xの献身(2008年)
- 白夜行(2011年)
- 夜明けの街で(2011年)
- プラチナデータ(2013年)
- 真夏の方程式(2013年)
- 天空の蜂(2015年)
- 疾風ロンド(2016年)
- ナミヤ雑貨店の奇蹟(2017年)
- 祈りの幕が下りる時(2018年)
- ラプラスの魔女(2018年)
- 人魚の眠る家(2018年)
- マスカレード・ホテル(2019年)
- パラレルワールド・ラブストーリー(2019年)