アーヤと魔女(ジブリ映画)無料動画配信と口コミ評価・感想まとめ！NETFLIXやhuluで観れるのか

アーヤと魔女はちょっと変わった異世界ものでした。雰囲気からほのぼのした魔女映画なんだろうなあと思いましたが、全然違い虐待されているような描写が最初の頃は多く不安になりました。親代わりの魔女たちからはひどい扱いを受け、ひどい言葉まで投げかけられます。しかしアーヤはめげずにその魔女たちに喰らい付いて行くのです。しかもほんとに噛み付いてしまう始末で、なんて芯の強いタフな女の子なんだとビックリしました。徐々にアーヤの強さに感服して行く魔女たちが面白いですし、ただ負けを認めるだけではなく愛情らしきものが芽生えて行く様はホロリとしてしまいました。後半にかけてはあれ？魔女たちって意外といい親じゃんなんて思ってしまうシーンも多くなります。アーヤが欲しがっていた、家族の絆が出来上がる瞬間を見たら必ず涙が出てきてしまうと思います。

「アーヤと魔女」はジブリが産み出した初の3DCG作品なので、いつものジブリアニメとは少し違った雰囲気を楽しめました。絵の持つあたたかみが少し薄れてしまっているものの、CGなのでキャラクターの動きがよりなめらかになっているところが良かったです。そして背景の草や花が風によってゆらゆら動いているところが再現されているので、よりリアルな雰囲気を堪能できました。難しい伏線などはなく、ストーリーはシンプルなのもこの作品が見やすくなっている理由だと思います。そして他のジブリ作品と大きく違うなと思ったのは、主人公のアーヤの性格です。話術にたけていて、人を自分の好きなように操るちょっと意地悪な性格が今までの主人公の雰囲気とは全然違っていて、そこがまた面白く感じました。

「アーヤと魔女」の見どころとしては、主人公のアーヤがとても未熟で、人間らしい弱さがよく伝わってくるシーンが多いということです。普通アニメ映画の主人公は常に自分の信念をもって夢に向かって一直線に走るというキャラクターが多いですが、アーヤの場合は普通に他人を騙そうとしますし、その状況によって自分の信念がぶれぶれになることもあります。でもこういう人間らしさを見せてくれるからこそ、完璧ではないアーヤのことを応援したくなりますし、できすぎた人間よりもアーヤの方に感情移入しやすくなります。しかもちゃんアーヤは物語の中で成長を遂げていくので、その過程を見届けられるという嬉しさも味わえます。ジブリなのに絵ではなく3DCGでアニメーションの表現をしているチャレンジ精神も評価したいです。

「アーヤと魔女」は宮崎吾朗監督・「レッドタートル ある島の物語」以来4年7か月ぶりとなるスタジオジブリの最新作です。今作はジブリでは史上初の3DCGアニメーションということですがCGアニメでもジブリらしい作り込みの細かい美しい映像はさすがの一言です。そして、音楽に関してもこれまで無かったロック色の強い劇中音楽も採用されていて、活発で何事もポジティブな主人公アーヤのイメージにぴったりです。どんな作品を監督したとしても、どうしても父親であり、偉大な巨匠・宮崎駿監督と比較されてしまいがちですが、吾朗監督は「コクリコ坂から」でもそうでしたが、作品の心理描写とリンクするかのような映像や音楽とのマッチ感が素晴らしく、どんな世代でも受け入れやすい上質な作品となっています。自分の居場所を自分で切り開いていく、これまでのジブリ作品でも特に強い主人公アーヤに観終わった後には夢中になってしまいました。

ジブリ史上初の３Dアニメーションで物語が展開されます。宮崎 吾朗の作品には処女作のゲド戦記にトラウマがあり、今作について如何なものかとスタートから期待値マイナス100でスタートしましたが、期待以上でとても面白いです。怪しい男女のベラとマンドレイクに孤児院から引き取られた主人公のアーヤは名付けられたとおりにベラとマンドレイクを操り思い通りにしてしまいます。二人を懐柔するまでは、まだ幼いアーヤの児童労働の描写が続くので見ていて辛いです。マンドレイクから少しずつアーヤへの優しさが垣間見えて、そこが唯一の救いのように感じます。二人をやっと懐柔して素晴らしい日常が続く途中で唐突に終わってしまうので続編を待ち遠しく感じます。