tofubeats 『RIVER』 レビュー

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寝ても覚めても愛は

tofubeatsの新曲『RIVER』が素晴らしい。

濱口竜介監督の商業映画デビュー作にして日本映画、いや世界映画史に刻みこまれるだろう大傑作「寝ても覚めても」の主題歌です。

夜の川沿いを歩いているような静謐で透明なピアノのコードに風のようなシンセ、鼓動のようなリズムが重なり、tofubeats自身による職業的な歌い手には出せない親密なヴォーカルで語られる言葉が、観客の心の中で映画の主人公である朝子と亮平の姿とあまりに美しく豊かなハーモニーを奏でます。イギリスのサムファやジェームス・ブレイク、アメリカのフランシス・アンド・ザ・ライツと同時代のポップ・ミュージック。

「とぎれることないけど つかめない」
「沈みゆく私をそっとすくいあげて」
夢から醒め、その間に過ぎた時間を思うこと。愛についてであり、映画を観るということでもあります。そのメタファーとしての『RIVER』。

昨年のアルバム『FANTASY CLUB』、今年の向井太一『Siren』のプロデュースなど右肩上がりに音楽シーンで影響力を増しているtofubeats。「寝ても覚めても」では主題歌だけでなく、映画音楽に初挑戦。映像に寄り添うような、アビエントな音像がこの映画のある種不穏な、夢か現実かわからない曖昧さ、抽象性を引き立てていて見事です。

エンドロールで流れる『RIVER』が映画の味わいを素晴らしくしていくこの感覚は、くるりが映画音楽に初挑戦した犬童一心監督の「ジョゼと虎と魚たち」、その主題歌『ハイウェイ』に近いかもしれません。
くるりのように、tofubeatsがこれからの日本の音楽シーンを同世代のSTUTSらと引っ張っていくのは間違いないでしょう。先ずは10月3日にリリースされる新しいアルバム『RUN』、そして未見の方は「寝ても覚めても」を是非映画館でチェックしてください。時代が、文化史が変わる瞬間を目撃してください。

聴きこむ編集部ライター 吉田昂平: 大学で映画評論を専攻。映画、音楽、サッカー、野球に情熱を燃やす。バンドでベースとギター経験もある、弾けるライター。

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