Ruby Tuesday31 at 新代田FEVER


LINEで送る
Pocket

ライブイベントのプロモーション大手、ホットスタッフがライブハウスで活躍する注目バンドをピックアップするイベント、Ruby Tuesdayに行ってきました。

 

トップバッターは東京都立川市出身の女性ヴォーカル・バンド、あいくれ。アップテンポに畳み掛ける前半はハードロック調に、ミドルテンポに聴かせてくれる中盤は歌謡曲調に、伸びやかで豊かな声量を活かしたヴォーカルの表現力の多彩さがとても印象的でした。バンドもスクエアなギターロックを基調にしながら、バラードではブラック・フィールあふれるフレージング、しなやかなリズムを体現。生活感あるフォーク調の歌詞と合わさり、独特な世界観を築き上げています。
ハイライトは「私たちの決意の歌です」とのMCに続いて演奏された『ブレーメンへ行く』。自分の人生を生きていく決意がロードムービーのようなメロディ、観客の手拍子に乗って奏でられ歌われ、感動的なシーンを生み出していました。

 

「やっと手に入れたコイツの曲をやります!!『ロンドンブーツ』!!!」
この叫びと気合いの入りまくったブルース・ハープで始まったのは2番手、錯乱前戦のパフォーマンス。ヴォーカル、ツインギター、ベースの4人がフロントで1列に並ぶ超攻撃的フォーメーション。メンバー全員10代。初期衝動とロックへのリスペクトをガンガンとぶつけ、それが岩をも転がす彼らにしか鳴らせないロックンロールとなり、フロアを熱狂させます。
「Boy meets Boyz」。最後に披露された新曲のリフレインです。男の子が男の子と出会ってバンドを組んで演奏する、ただそれだけで起きる魔法。ロックンロールの天使たちがそこにいました。

 

3番手はw.o.d.。黒いムスタング、足元にはBOSSのDS-1で
「錯乱前戦、カッコよかったですね。負けないよう頑張ります」
なんてクールなMCで心を持っていくヴォーカル。カート・コバーンが蘇ったのかと胸が熱くなります。身体の芯を揺らすかのような極太のベースラインにモジュレーションがかかったギターアルペジオ、デイヴ・グロール直系のニヤリとさせられるドラムが重なり、「スコール」でライブは始まりました。
フェイズ・エフェクターをコントロールしてフィードバックノイズの海に波を起こす、「モグワイかよ!」と泣きながらツッコミたくなるエンディングまで、クールすぎるステージを披露してくれたw.o.d.。9月にリリースされるアルバム、無限と思えるポテンシャルが今後どのように開花するのか、本当に楽しみです。

 

赤いテレキャスターの耳をつん裂くようなノイズで始まったのは、トリのTeenager Kick Ass。轟音の分厚い壁をナイフで切り裂くような歌、言葉。
「生きてんだか死んでんだかわかんねえな!」
「不器用だって言われる。俺はそれでいいなんて思わない」
ミドルテンポの曲もキャッチーな曲も、怒りや苛立ち、焦燥感を観客に自分たちバンドに向けて発散しています。率直に、トータルバランスが取れていたパフォーマンスではありませんでした。おそらく、このバンドはシリアスな局面を迎えているのだと思います。しかしそれを取り繕うことなく、剥き出しの眼でやりきった彼らに何かを、ロックバンドとしての1つの誠実さを見た気がしました。

 

楽曲もサウンドも、4者4様のパフォーマンス。cero、吉田ヨウヘイgroupなどのシティポップ的な流れから、シンプルなロック・アクトが増えてきていることを改めて実感します。シンプルだからこそ、ブラック・ミュージックをどのように消化してグルーヴしているのか?というのは共通したテーマでしょう。身体と心を踊らせられるか。イベント中幕間でずっと流れていたThe Rolling Stonesが体現している通り、やはりロックバンドのベースはダンスミュージックです。

今日の新代田から、ステップアップしていくバンドが出てくるのでしょうか。帰り道、耳鳴りの中でロックンロールの天使たちに出会えた興奮を覚えながら、気づけばライブハウスのスケジュールをチェックしていました。

 

聴きこむ編集部ライター 吉田昂平: 大学で映画評論を専攻。映画、音楽、サッカー、野球に情熱を燃やす。バンドでベースとギター経験もある、弾けるライター。

口コミする

ログイン せずにコメントも可能です(投稿名とメールアドレスは必須ではありません)
  購読  
次を通知