あしたてんきになれ Yogee New Waves 『to the MOON e.p.』に寄せて

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2019年12月4日。Yogee New Wavesが『to the MOON e.p.』をリリースしました。

『PARAISO』を発ち『WAVES』に揺られて『BLUEHARLEM』へ。それまでの人生の集大成としての切実さに満ちた眩い1stからのドキュメントである島3部作。特に『BLUEHARLEM』中盤に収められた『Goodnight Station』『suichutoshi』『emerald』の魅惑的な3曲で迎えた高みから、Yogee New Wavesが次に目指したのは見上げた夜空に雲の切れ間から顔を出した月でした。

ジャケットにも採用されている、NYのスパニッシュ・ハーレムで出会ったストリート・ペイントから一気にイメージを膨らませた表題曲『to the moon』。
夜空を舞い上がるドラムとベースに、その先の月明かりみたいに煌めくコーラス・エフェクトを効かせたmaj7とm7のカッティング・ギター。
そんな幾層にレイヤーされたリズムの上を泳ぐワウ、さらにジェフ・ベックばりのトーキング・モジュレーターまで飛び出すリード・ギターはギター・キッズ垂涎必至のカッコよさ。本当に月まで行けそうな、『to the moon』出来てしまいそうなプロダクションです。

高畑勲監督のアニメーション史に燦然と輝く傑作『かぐや姫の物語』にも描かれているように、月を「死者の世界」とする解釈は世界中に存在します。

「死者の祭りがある理由を知りたかった」と中南米に旅立った角舘さんが、月に惹かれたのは自然な流れだったのではないでしょうか。

「別に明日死ぬわけじゃないし」

それはいつか死ぬことを意識して生きているからこそ歌われる言葉です。

A面で恋をしてB面で好きになるのが7inch盤の流儀。2曲目の『あしたてんきになれ』はカラフルなモータウン・ポップ。

「涙は溢さず心に溜めるものなんだよ」
「電話をしてたらすぐにわかるのさ」
「君よ、さよなら」

跳ねたビート、絶妙な難易度の若々しいギター。すぐにコピーしたくなる、心踊るアレンジと甘い歌声で表象される恋人との別れのシーン。
全国、いやYogeeが支持を拡げるアジア中の若者がそれぞれの想いを込めて演奏する姿が浮かんで、なんだか胸が熱くなります。

Yogeeの歌詞、インタビューでソングライター角舘さんが紡ぐ言葉はとても明瞭です。真摯に誠実に音楽と人生に向き合えばこそ、ひとつひとつの瞬間の感情が作品になる。

配信、CD盤の『to the MOON』EPのラスト、穏やかなバラッド『Sweet Melodies』には、こんな語りが収められています。

「2019年10月13日/台風19号は去って/街は静寂に包まれている」

そんなYogeeの表現に触れて心を揺さぶられると、自分も真摯に誠実にOpen Mindに日々を生きよう、生き抜こうとしたくなります。共に、月を目指したくなります。

I’m a dreamin’boy、思いのままに行くだけさ、言葉を集めて深いところまで。別に明日死ぬわけじゃないし。

ライター紹介 吉田コウヘイ

在野で評論活動修行中。

アメリカン・ニューシネマ、五月革命、ウィノナ・ライダーの信仰者。

Twitter: tele1962

Instagram: telecaster0225


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