Homecomings 『Blue Hour』レビュー 時間の不可逆的な変容について


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Homecomingsの3rd ALBUM『WHALE LIVING』から『Blue Hour』が先行配信、MVも公開されました。

「ペンキをこぼしたみたいな夜が影をひいて」
朝を迎える前の短い時間にやってくる感情を、乾いたスネアと鼓動のようなベースが心地よく響くリズム、穏やかなコード進行に繊細なギター・サウンド、優しいハーモニーで描写します。
それらに包まれる、主人公である畳野彩加さんのヴォーカルはやはり素晴らしいです。彼女が「僕らは」と歌うと、何か胸が締めつけられるほどの切なさを感じてしまいます。

空気を揺らす音としての歌声。その絶対的な個性、魅力は英語詞でも日本語詞でも、全く変わることはありません。

「秘密が言葉を漏らしたなら 散らばった文字が浮かび出した」
ジョン・キャメロン・ミッチェルの「アメリカン・スリープオーバー」や、HomecomingsのLIVEのオープニングに毎回流れる「These Days」がラストシーンでエモーショナルに使われるガス・ヴァン・サントの「永遠の僕たち」など、郊外の街を舞台にした素敵な青春映画を観たような。

またはアメリカ最良の青春小説のひとつ、ポール・オースター「ムーン・パレス」を読んだような感覚が、『Blue Hour』にはあります。

大人になる手前と朝の手前。否応なしに変わってしまう、不可逆的に過ぎてしまう瞬間の焦燥とそれを思い返す今の自分の郷愁。それがこの宝物のようなポップソングに込められているのかもしれません。

聴きこむ編集部ライター 吉田昂平

加藤幹郎『映画とは何か』を読み衝撃を受ける。音楽、映画、サッカーを中心に評論活動修業中。60年代カウンター・カルチャー・マニア。

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